(ウド)
「山でうんまいもんオケラにトトキ、まだうんまいもんウド、ワラビ」と都々逸で歌われているが、北海道にはキク科のオケラはないようでボクも見たことがない。オケラの根茎は漢方生薬につかわれる薬剤で白朮(ビャクジュツ)の名があり、お屠蘇のレシピにもある。
キキョウ科のトトキはツリガネニンジンのことで、こちらは北海道でもよくみかける。しかし、道内では食用としてあまり用いられていない感じがする。
ウドとワラビは北海道の山間部で今や山菜取りの全盛期である人気者。ワラビは山に行かなくても低地で採れる。日当りのよい場所にでるワラビは鉄道線路沿いに群生しているらしく、山菜採りの人が群れている。
ウコギ科のウドは山奥へ行かなければ今では採れないであろう。同じウコギ科のタラノキが先日に山の方へ行くと食べ頃の芽を出していた。タラノキは陽木で道路沿いや川岸、森林の伐採地などの開けた場所に群生する。大きくても5~6㍍の小高木だけど、幼木の頃に若芽を全部マナーの悪い人に摘まれて枯れたりとか、鹿に樹皮を冬に食べられて枯れたりと、5~6㍍の大きさまでは成長したタラノキはあまり見たことはない。
タラノキの幹には棘があり、鹿などの動物に食べられないように生やしているようだが、それでも冬に飢えた鹿は樹皮を食む。若木や春の芽立ちがタラノキにそっくりなハリギリは山菜採りの人がタラノメと間違って採るほど似ている。ハリギリもウコギ科で林業家はセンまたはセンノキと呼ぶ。高さ20㍍以上にもなり、良質な材となり、建具や家具に利用される。
ハリギリの芽はタラノ芽より味が劣りクセが強いので、アクダラとかイヌダラと呼ぶ地方もある。地方によって山菜は好みがそれぞれあるのであろうが、東北ではシドケ(モミジガサ)、アイコ(イラクサ)、ミズ(ウワバミソウ)なんかが人気だが、これらは北海道では殆んど食べられていない。
(ハリギリの幼木)
全国的に人気の山菜はウド、ワラビ、フキ、タラノメが一般的であろう。北海道で人気の山菜はやっぱり行者大蒜である。昔はこれをアイヌネギと呼んでいたが、アイヌの人々はキトピロ(ヒトビロ)と呼んでいた。これはニンニクによく似た臭気があり、ニンニクよりも臭いは更に強い。
山菜は天麩羅にすれば大体が美味しく戴けるのだが、天麩羅という調理法を除いてボクが好きな山菜は、アイヌネギのおひたし、ウドの味噌漬け(生のまま漬ける)、ミズのたたきが粘りがあってお好みである。タラノメもウドに香気がよく似ているが、お味噌に数日ほど漬けるとアクが程好く抜けて、これを生で食べるのも旨いネ。
先日、居酒屋でタラノメ、ウド、コゴミの天麩羅をいただく。漢字で表すと“楤芽・独活・草蘇鉄”となる。コゴミは俗称で屈んでいるような身を丸めた様子からの名前で、正式にはクサソテツというシダ類の植物である。
(ウドのきんぴら)
(タラの芽、ウド、コゴミの天麩羅)