TREKからの案内

メルマガ会員向け?に先日、新商品お披露目のイベント案内が届きました。

 

 

タイミング的には例のアレだろう、一足先に答え合わせだ!

 

ということでTREK Bicycle 浜松店へ。

 
お出迎えのGEN 6とGEN 7の向こうに、それは待っていました

 

 
 
 
その名は、Madone Gen 8でした。
 

 

 

大きなトピック

  • Madoneに一本化(Émondaに新型の予定はなし)
  • アプローチを変えた空力。ボトルま含めて効果を発揮
  • グレードは3種類(SLR7、SL6、SL5)→1:35追記:やはりより上位モデルがあるようです
  • SLR7には新たなOCLV900カーボンを採用
  • Madoneから320gのダイエット
  • ディレイラーハンガーがUDHに
  • SL5は機械式コンポ対応
  • サイズ展開が8種類→6種類に(!)
 
結果、やはりというか、自分にとってはÉmondaの葬式となりました。
夜だし、むしろ通夜か。
 
 

コンセプト

MadoneとÉmondaの統合、両者のいいところを受け継いだ新しいバイクという形。
開発陣のインタビュー動画を見せていただきました。
その中で言われていたこととしては、
  • Madone乗りの人に対しては、現行とエアロ効率が変わらないまま軽量化が図られるということ
  • Émonda乗りの人に対しては、重くなることなくエアロに優れた自転車を提供できること
(若干うろ覚えなのでニュアンスが違うかもしれません、ごめんなさい)
とにかく、双方のユーザーに対して納得してもらえるような妥協のない開発をした、ということでした。
 
 

見た感じの印象

写真で見るより実物のほうがカッコいいですね。
Madoneがやせ細ったような印象を写真からは受けていましたが、
実物は意外とそんなにバランスが悪くはない。
 
SLR7 色はプロジェクトワンでした。綺麗な赤。ホイールはアイオロスプロ。
 
SL6 一番面白いカラーで、シートチューブやフロントフォークの内側が黒になっているのと、主張の小さいTREKロゴで、モダンな印象。ホワイトはラメ入りです。ホイールはアイオロスエリート。
 
SL5 Hex blueじゃねこれ。俺の乗ってるÉmondaにしか見えねえ。ホイールもアルミのパラダイムだし……
 
しかしこれ、本当に難しい。
シルエットはほぼÉmondaなんですが、
ヘッド周りの形やクランク周りの狭さは間違いなくMadoneなんですよね……
よーく見ていくと、段々ワケがわからなくなっていく不思議な感じです。
あと、IsoFlowは意外と気にならない。
だいぶ控えめな穴になりましたね。
 
見た目・空力のところで面白いのは、あちこちの部品が「四角い」こと。
例えばSLR7のハンドル。
厚みがあるのと、前方部分があまり尖っていません。
丸い、というよりは長方形の角を丸めたような感じとでも言いますか。
これは、ハンドルは細くしすぎず風を飛ばし、人間に当たる風を減らすことで、トータルで見たときの空気抵抗を減らす狙いだそう。
 
また、カムテール形状があまり積極的には使われていません。
ヘッド部分も自分が乗ってるÉmondaの方が、上から見るともっと前後に細いんですけど、Madoneは意外と丸い。
ダウンチューブもシートチューブも四角い。
これは、タイヤに当たった風が後ろに流れるまでの形をトータルで考えての形状だそう。
凸レンズの断面みたいなイメージです。
タイヤがレンズの尖った先、フレームはレンズの一番厚いところに収まってくるので、この部分が尖っている意味はないという思想でした。
こういう独自路線のロジックは、なんともTREKらしい。
 
そしてそれに寄与するのが、新しいボトルとボトルケージ。
 
渦を巻く部分を、このボトルも活用してコントロールという理屈らしいです。
 
こういう独特なアプローチですが、
不要なところで空力をやりすぎないというのは納得できる部分でもあります。
 
それはレーシングカーで聞く話で、全てにやりすぎて過敏になっても良さが発揮できない、ということ。
バトルのしやすさやレースでの扱いやすさとバランスが取られることもままあります。
(奇しくも同じ北米生まれの、アキュラARX-06が同じようなコンセプトです。リヤエンドがライバルよりもやや抑えめな作りだったりします。)
 
乗る人間も様々、晒される環境も様々な自転車。
ウィンドウは狭いよりも広いほうがいいでしょう。
 
ちなみにボトルとケージも同時販売だそうです。
既存モデルにも使えるそうなので、少しでも現状のマシンを進化させたい方はぜひ。
 
ハンドル周りの話をさらにいくつか。
SL5と6はステムがDomaneと似た感じに。
なんか、僕は今のÉmondaの形のほうが好きですね。
好みの問題でしかないですが、うーん……
 
また、写真撮り忘れてますけどハンドルはセミフレア形状です。
この辺は今どきのトレンドですね。
 
 

グレード展開

今回はSLR7、SL6、SL5の3種類のグレードを見せてもらいました。
現行ではさらに上のモデルもありますが、これは削減されてしまうのか?
ここについては今回情報がありませんでした。
明日にはわかっているのかもね。
 
価格帯はこんな感じ。
 
 
 
SL5については完全に現行Émondaの受け皿ですね。
Madone Gen7にはこのグレードは存在しません。
Émonda SL5から6万ほどアップというところです。
 
SL6については、Gen7からは10万ぐらい安いです。
これは大きい。
ただなあ……ホイールのリムハイトが50から35になってるからなあ……
それだけで価格差の大部分を占めてそうな気はしますね。
ちなみにÉmondaのSL6よりは20万近く高いです。これはもうMadoneなんだと思わないと辛い。
 
逆にSLR7はGen7より数万値上がり?これは後述の新素材のせいかな……
Émondaと比較するなら、20万ぐらい高いです。
これもMadoneとして考えたほうがよさそうだ。
 

ダイエット

SLR7には新たにOCLV900というカーボンが採用されました。
 
※ブレちゃったけど、900って書いてあります。
 
これは軽量化のためというのもあるでしょうが、細くする一方で剛性を確保したいという狙いなのではないでしょうか。
こういうところをトータルで考えられるのは、自社で素材までやってる強みですね。
 
この形と素材で、現行Madoneからフレームが320gのダイエットに成功。
まあ軽いほうがロスはないでしょう。
 
このフレームの重量で比べると、Émondaとほぼ差がないようですね。
(明示されていませんが、新素材使ったのはSLR7なので、ÉmondaもSLRでの比較でいいと思います)
 

ディレイラーハンガー

汎用規格であるUDHが採用されていました。
これはドーフィネで予め捕捉されていましたね。
 
そりゃあ専用品じゃない方が、後の管理は楽ですよね。
汎用規格でゆくゆくコストダウンに繋がってほしいのと、部品の手に入りやすさが上がることを願っています。
 

SL5は機械式コンポ対応

だそうです!
 
Madone欲しい人で電動じゃなくてもええわという人には朗報。
現行には電動コンポしかありませんでした(知らんかった)。
Émondaで機械式コンポを元々使ってる自分からしたら、無きゃ困るでしょ……と思ってしまいますが、
最近はむしろ機械式こそ肩身が狭い感じなので、
これは自分たちみたいな人への配慮なんでしょうね……
 
 

サイズ展開が変わります!

 
これは驚きました。
サイズの大小に合わせてフレームもそれぞれデザインしているという話でしたので、
その過程の中で、開発や製造のコストを減らす狙いではないかなという印象です。
モデルを絞れば工数が絶対減りますからね。
これはでもどうなんだろうなあ。
サイズ幅が広い中に入ってる人にとっては、妥協を強いられる可能性が少なからずあるでしょうね。
 
 

全体的な総括

ライバルとの関係、TREKを取り巻く環境それぞれが見える1台です。
 

グランツールを争うライバルメーカーがエアロオールラウンダーを主軸に据え始めた中、TREKもこの流れに乗ることにしたわけです。

(そう考えると2020年の時点でVengeを廃盤にしたスペシャライズドって、どんだけ先を見てるんだ……)

その結果、現行Madoneが完全に削ぎ落とされてます。つまりÉmonda
よく見れば残っている部分もありはしますが、ほぼ跡形もない。
ここまでやるとファンも一緒に削ぎ落としそうな気もしますが、
トップモデルは勝つためにある、そのためにはなりふり構わないというところなのでしょう。
 
また、ラインナップにエアロロードを残すメーカーもある中、
TREKはこれでエアロロードを捨てることになるわけです。
純粋なエアロロードの終焉、それだけの覚悟とも取れます。
 
取れますが、一方でコストカットの意向も強そうです。
モデルの統合、グレード展開(これはまだ見えていない部分もありますが)、サイズ展開、共通規格部品の導入、……
かねてよりあった、諸々不採算な部分を整理しているという噂を裏付ける1台にもなったのではないでしょうか。
(27日の日中、先にリリースのあったアイオロスホイールからボントレガーの名前が消えていたのも気がかりです)
そうした中で大きな変化を厭わないのは、ある種合理的な、アメリカ企業らしい気もしました。
 
トレック・ジャパンの皆さま、今日は面白い機会をいただきありがとうございました。
 
 
 
最後に
 
その1
 
ここって折れないんですかね。
こんな形のところに体重かかってて大丈夫?ってわりと不思議に思ってます。
まだこの形が出てきてからそんなに年数経ってないので、そこまで疲労が蓄積してないのかもしれませんが……
 
 
その2
正式発表まで内緒ね!って言われてましたが、
 
その3
 
 
 
……でもやっぱ、Émondaだよねこれ。
↑の公式サイトにもあったけど、元々Émondaとして開発してたって書いてあるし。
自分はMadoneだと思い込んでるÉmondaが、この世に誕生してしまったのでは……