先日の様子やレシピ開発などを今週金曜日から毎週更新していきます!
今週はイベント班のフィールドワーク(以下FW)の様子をご紹介

 

店主の白川さん

店主の白川勝之さん

 

 

 

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通常、店の外見は人が入りやすいように、目を引くようなデザインで作られている。
しかし、丸亀市駅前の商店街には、人を拒むような佇まいの店がある。酒亭うりだ。
 

 

香川弁バリバリの「とがった」店の「とがった」店主、
白川勝之さんがこれからの商店街のあり方についてお話を聞かせてくれました。

 

何も装飾がなく、入りずらさと同時に大人な上品さが漂う


――なんでこんな入りづらい店構えなんですか?

やっぱお酒を飲む人に入ってきてほしかったんで、間口はちょっと入りにくくしとったん。だけど、駐車場があったかな。駐車場があると酒飲まない人も平気で来るのよ。丸亀も人口が減っていくから商売やっていく上で、客単価上げることしかない。それを考えた場合にお酒を飲んでくれる人だけにどうやったら来てもらえるかって考えたら駅周辺よね。なんでかって言うたら駐車場がないから。お酒を飲まない人は駐車場代払ってまで飲食店来ない。でも、お酒を飲む人ってのはタクシー代、代行代払ってでもくるん。ということは駐車場がない方に来た方がええん。飲む人しか来んから。

 


―― 丸亀市で姉妹都市提携の調印をした4月9日を「チャコリの日」と制定されてますが、チャコリは置いたりとかはしてますか?


うちのワインのくくりはナチュールワインっていうくくりなん。ワインって酸化防止剤入れてあって、ナチュールワインはゼロか少なめで、ナチュールのほうが和食に合わせやすい。で、チャコリにナチュールがあるかっていうとあんまりないのよ。ってなると、うちにチャコリ置いても整合性が合わようになるやん。矛盾してくるきん、置いてない感じ。


うりさんのメニュー、ナチュールワイン

 

 

お酒に合うように作られる取材当日のメニュー

 

 

 

 

 

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とがった店
 

これは俺の考えなんやけど、香川の他の地区に比べて一番丸亀が食に対して保守的。丸亀ってあんまり冒険する若い子っておらんのよね。割りかし20代から30代前半のやつの独立ってのは丸亀って弱いと思う。俺、始めた頃は結構、自分と同じ年代のやつ結構やんりょったんけど、あんまり(飲食店を)せんし、あんまり「とがった」店をせんよね。

外に関してはやっぱすごい保守的よね。やっぱ「とがった」ほうが面白いよね。「とがった」やつばっか集まったら、もう「とがった」もんしかないけん、「とがった」もん食うんやて。
イベントするにしたって、無難な焼きそばとか焼き鳥とかじゃなくて、俺らがどんだけ「とがった」もんしたって、隣で焼きそばとか焼き鳥とか焼きよったら絶対そっち行くんやって。
その努力と仕込みとか考えた場合、なんやあっちのほうがええやんけみたいな感じにもなってしまうし、やるんやったら「とがった」もんばっか集めてやった方が、面白いし、やりがいもあると思うよ。特に若い世代は。そんなん見せられたら俺らおっさん連中も俺らも頑張らないかんなとかなると思う。



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人生が決まった生ビール

―― そもそも、店を始めたきっかけは何だったんですか?

大学時代はバイトは行ってたけど学校は行ってないっていう自堕落な生活をしーよったきん、ゼミの先生に食い物系にいきたいんやったら、食品商社の就職ガイダンス行って来いと。行ったら並んどって30分~1時間後かなーって言われて、普通やったら他の企業とか見に行くんやろけど、熱うてな。スーツも着慣れてないきん、1階の喫茶店でアイスコーヒー飲もうと思ったん。ほんだらメニュー見たら生ビールあったんよね。そこで生ビール2杯飲んでしまったんよ。こんな我慢できんのやったら飲食の道行こう。んで、もうその夜にバイト先の社長のとこ行って…

そっからかな。でも、やるんやったら地元って決めとったけん。根が田舎者やから、年取ってから(帰ってくるのは)無理やから、帰ってくるんやったら早い目がええなと思って開けた。


かっこよく飲みたくなるような、どこまでも大人な上品さが漂う店内




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商店街の現状と課題


―― 商店街自体がお店同士でつながりはありますか?

俺もこっちで店開く2年ぐらい前までは商店街の人間って結構仲良うて、結束力がすごいあるかと思いよったんやて。商店街の人間ってそんなに商店街に興味ないねん。


―― 私たちもそう思ってたんですけど違うんですか?

形的・名目的にはあるけど、もう本質的にはないと俺は思うな~。年取って、後継者もおらんし。そういう点で言えば、商売に対しての欲ってのがないのかもしれん。

一番問題なのが、空き店舗空き店舗っていうけど、借りたい人はおるんやけど貸してくれんやん。貸してごちゃごちゃしたくないとか、あるんやろけど。貸さんけど売ってくれとか、ボロボロで修理いるとか。


―― 受け取り手がいないからだと思ってました。

あまりにも持ってるものが朽ち果てすぎて貸すこともできんし、潰すのにもお金がかかる。今ホテルになってるとこの前も空き店舗やったんやけど、朽ち果ててもう梅雨の時期なんか木が腐ってくるきん、雨の日なんかすごいカビ臭かったん。


―― そこが課題なんですね

そうそう。それはやっぱり不動産・行政も限界あるきん、やっぱデベロッパーやと思う。そんなんは、市の人とかも絶対全部やっとると思う。

やっぱり「とがった」店の集合体になるしかないと思う。飲食はぼちぼちそういう店が来てるんやけど、物販が来うへんよねなかなか。ネットとかもあるきん、やりようはあると思うんやけどなー。最初はやっぱ飲食のほうが参入しやすいやろうけど、物販まで来始めたら完成形やと思うな~。








―― 謝辞
現在の情報やモノがあふれる世界では、似たようなものは星の数ほどあります。それを逸脱できる地域のアイデンティティやそこにしかないようなことがその地域の魅力であり、アイデンティティに繋がっていく。そのそこにしかない「とがった」もので差別化していくことがこれからの丸亀だけでなく、全国の地方に必要だと私たちは思いました。

酒亭うり 白川さん、取材を受けていただきありがとうございました。

 

 

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〒763-0043

丸亀市通町154−1

☎ 0877 - 24 - 5252

定休日:月曜

営業時間:18:00 ~ 23:00 (LO. 22:00)

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