冬になると体が冷え、血圧が上昇しやすくなります。
高血圧の患者さんの中には、夏と冬で降圧剤の量を調整する必要がある方 も少なくありません。
今日の外来に来られた患者さんもそのお一人で、「そろそろ冬の量に変更してください」と相談されました。季節で薬の調整をするタイプの典型例です。
では、なぜ冬に血圧が上がりやすくなるのでしょうか。理由はいくつかあるようなのですが、主なものは次の二つです。
① 寒さによる交感神経の活性化:寒さを感じると、脳の視床下部が「体温が奪われる」と判断し、交感神経を刺激します。これにより心拍数が上がり、血管が収縮して血圧が上昇します。
② 皮膚血管の収縮による血管抵抗の上昇:寒い環境では皮膚の血管が強く収縮し、体表面の血流が減少します。この血管収縮が全身の血管抵抗を高め、結果として血圧が上がります。
こうした冬の血圧上昇は、入浴時の急激な温度差で起こるヒートショックとも深く関係しています。特に高血圧の方や高齢者は注意が必要です。
冬場は、日々の血圧チェックを怠らず、室内を暖かく保つことを心がけたいものです。