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海からの帰り、駅に着くと、電車までまだ少し時間があった。
季節外れの寒さになった今日、人影はまばらだ。
「ちょっと寒いね」
潮風が通り抜けるホームは、夕方が近づき少し冷えてきた。
理人は繋いた也映子の手を自分の上着のポケットに引き込む。
「だから、念のため羽織るもの必要だって、言ったんですよ」
「だって〜、荷物増えるから〜」
「天気予報で、今日は夕方から冷えるって、言ってましたよ」
「はいはい、分かりましたよ〜」
口を尖らせている今の顔でも撮ってやろうと、理人は也映子にカメラを向けた。
"カシャッ…"
向けられたカメラに気づいた途端、レンズ越しに向けられた也映子の微笑みがあまりに柔らかくて、理人はシャッターを切りながらはっとした。
撮り終えてから、もう一度あの微笑みを確認しようとカメラを覗いていたら、也映子に突っ込まれた。
「理人くん、何見てんの?なんか変だった?」
「別にっ…何でも、ありませんよ」
「え、なに?気になるよ、見せてよ」
「別になんもないってば」
「じゃあなんで隠すのー」
「うるさいなぁ、ほら、もう電車きますよ」
納得いかないむくれ顔をしている也映子の手を引いて、電車に乗り込む。
磯の残り香を吸い込みながら、さっきの写真はお気に入りに入れておこう、と思う理人だった。
(おわり)
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あまりに素敵な波瑠ちゃんのインスタ写真に触発されてしまいました〜!
これはもう、ふたりで遠出した道すがら、理人に向けた也映子の微笑みにしか見えません…💓