そこで綺麗な星空を見ようと思えば、都市圏を遠く離れた山奥に行く必要があります。それも、大阪のような大都市の光害から逃れるには、相当遠くに離れないと、その影響から逃れられません。また行く方向によっては別の都市の光が邪魔になります。そうすると、理想の星空が見られる場所というのは非常に少ない、という事になります。また、相当な距離の移動を強いられます。当然そのような場所は辺鄙で公共交通手段などはなく、望遠鏡などの観測機材を持っていくので、車の使用が必須になります。私のお気に入りの星見の場所は、近いところで家から60km、遠い方は140km程もあります。
次に問題になるのは月明かりの影響です。月の影響は光害以上に強烈です。満月の前後などは、いくら条件の良い観測地でも全く意味がありません。そして、当然ながら天候は快晴である必要があります。雨が降らなくても、曇っていたら当然星なんか見えません。また風が強くないことも重要です。風があると倍率の高い望遠鏡では視野が揺れて見ずらくなりますし、露出時間の長い写真撮影では致命的となります。さらにさらに、夜にそれだけ遠くへ出かけるとなると、現地での野営も必要となったり、次の日が休日である必要があります。
1. 都市から十分離れた観測地。
2. 新月前後で月が出ていないこと。
3. できるだけ雲ひとつないクリヤーな快晴であること。
4. 次の日が会社や仕事が休みであること。
これだけの条件が揃わないと、都市部に住む天文ファンは星空を楽しむことができません。こんな条件が揃う日が、年にいったい何回あるでしょうか? 真冬は積雪で入れないこともあります。曇っただけで、それまでの長距離運転・ガソリン代が無駄になります。機材は高価ですがそれが使えるチャンスは極めて限られており、本当に長年にわたって「元のとれない趣味」だと思い知らされてきました。時間が十分にある人や、もともと星空の綺麗な場所に住んでいて、自宅に観測小屋があるという人でないと、宝の持ち腐れになります。
「観測小屋」というのも非常に重要です。というのは、写真を撮りたい場合は特に、機材のセッティングには極めて微妙で正確な設定が必要で、慣れないとこれだけで何時間もかかってしまいます。趣味でありながら、かなり職人的な知識や経験がモノをいいます。観測小屋があってそこに常にセッティングしてあれば、星空があればすぐに作業にかかれます。私にはこれらの作業が楽しむ前にストレスとなってしまい、うまくいかなかった時に非常に不満がたまります。「釣りで遠くに出かけたのに坊主だった」というのに似ているかも知れません。
写真撮影などをせず、目で見て楽しむ「眼視観望」だけなら、これらのストレスは劇的に減らせ、楽しめる要素が増えるでしょう。ただし、眼視観望の場合はかなり大きな望遠鏡が欲しくなります。写真撮影か眼視観望かで、機材の選定はかなり違ってきます。都市部の人はよほどの情熱がない限り写真撮影は難しいと思います。
そんな「写真挫折者」の私ですが、数少ない写真をUPします。

アンドロメダ星雲 M31

バラ星雲 NGC2237

オリオン大星雲 M42

月 ピンポケです。

M27 亜鈴状星雲
これは「冷却CCDカメラ」という非常に特殊な天体用カメラを望遠鏡の接眼部に接続して撮影したものです。白黒しか撮れないカメラですが、R G Bの3枚のフィルターで別々に撮った白黒画像をパソコンの画像処理でカラーに変換したものです。

写真撮影のスタイルはこんな感じです。撮影ができるように組み上げてセッティングし、目標天体を視野に導入し、露出を10分くらいかけます。普通の写真では、1/125秒とか、「カシャッ」と一瞬に終わりますが、天体は暗いのでB(バルブ)を使い、10分とか20分とかシャッターを開けっぱなしにして光を溜め込みます。その間に、天体は日周運動でどんどん動いていくので、赤道儀という機械で星がズレないようにピタリと追跡します。この作業を「ガイド」といいますが、これがすごく大変で忍耐のいる作業です。露出時間中は片時も目が離せません。すこしでもズレたらブレた写真になってしまいます。ガイドに失敗したり、途中で曇ったり、また途中で車が来てヘッドライトで照らされたりしたらアウトです。本当に天体写真はストレスの塊で、楽しむ以前の障害が多すぎます。目標自体もほとんど見えない事も多く、視野に導入するだけでも大変なこともあります。
こんな状態ですから、今後天体写真はたぶんやらないように思います。バイクで温泉やグルメめぐりする方がよほどリフレッシュできます。しかし、やっぱり大宇宙の神秘には惹かれますので、やるなら「眼視観望」ですね。
ちなみに、月や惑星などは都市部でも十分楽しめます。但し、天王星~冥王星はちょっと難しいです。



















