文部科学省が30日に検定結果を公表した小学校の教科書では、3年生からキーボードの入力法やインターネットショッピングを学ぶなど、メディア環境に順応させようとする内容が数多く盛り込まれた。注意を促す一方で、「ネットで意見を発信する方法もある」などと、積極的なネット利用も推奨している。時代の変化を印象付けるが、教師からは「現実の子供たちのネット環境はもっと進んでいる」との声も聞かれる。【加藤隆寛、内橋寿明】

 光村図書出版の国語(3年上)は、コンピューターでのローマ字入力を解説。「ん」を「NN」、「こうこう」は「KOUKOU」と打つなど、通常に学ぶローマ字とは異なることを教える。同社の編集者は「今の時代、やっておかなければならない学習だ」と話す。

 同社の社会科(3・4年上)は「ネットスーパー」の便利さなどを紹介。教育出版の社会科(5年下)は、ネットショッピングに関連して「クレジットカードは計画的に利用しなければなりません」などと注意喚起した。

 東京書籍の社会科(6年下)は、「日本と世界の国々との関係について、自分の意見をまとめてみよう」というコーナーで、意見表明の場について「新聞の投書らんに出す」に加え、ネットで意見を発信する方法も紹介している。

 新指導要領では、5年の社会科で「情報化した社会の様子と国民生活のかかわり」を学ぶことになった。これを受け、情報を受け取る際の注意点などを考えさせるメディアリテラシー教育は大幅に充実された。東京書籍は「報道被害」という言葉を初めて登場させ、「報道で悪者にされてしまうと、疑いが晴れても生活や仕事に不利益を受けます」などと記述。バラエティー番組の捏造(ねつぞう)問題にも触れた。

 石川県では今年、小中学生に携帯電話を持たせないよう保護者に求める全国初の規定を盛り込んだ条例が施行されたが、同社の教科書では「金沢市に住むようこさんたち」の話し合いという設定で、「どこでも情報を受け取ったり発信できる」と携帯電話の利用を肯定的に取り上げた。

 こうした記述を、現場の教師は比較的冷静に受け止める。神奈川県内の女性小学校教諭(30)は「電子マネーで買い物する小学生は珍しくない。子供たちの生活は教科書の想定よりずっと進んでいる」と指摘する。

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