節子。48歳。独身、婚歴なし。

町工場に勤めて15年、節子は愛之助に恋心を抱いていた。
だが燃え上がる心とは裏腹に、愛之助は節子に全く、まるでそこに節子がいないかのような、関心が無かった。
節子は心を静めるために、夜は無論、
職場でも一人の時間を作ってはその身体を自ら慰めていた。
節子の想いを察していた周囲の人間も、誰一人として、節子の排泄ではない厠行きを咎めるものはいなかった。

そんな中で、今日の出来事である。
仕事中に怪我をした愛之助に、節子は誰よりも早く、ただ想いを寄せる愛之助が心配で、駆け寄った。
だが、好意も行為も、粉々に砕け散った。あまりにも素っ気ない愛之助の態度に。

幸いして愛之助は大した怪我もなく、全員がいつもの作業に戻っていた。節子も例外ではない。

「あんまりだわ…」

節子は胸の中でそうつぶやいた。
愛之助に想いを寄せて13年、思えば彼が職場にやって来た日の事である。
先にも申し上げたが、愛之助はいざ知らず、周囲の人間は節子の想いを察していた。これを書いている筆者にも節子の想いを痛感できるほど、節子は愛之助を好きであった。

では、何故、13年もこの想いは届かなかったのか?
周囲は誰も手助けはしなかったのか?
飲み会くらいどこの職場にもあろう。
節子はもちろん、愛之助もそのありふれた場に参加し、楽しんでいた。
だが、今日までとうとう、二人は男女の仲になることはなかった。

言い訳がましい読み物になるのは筆者としても心痛いが、周囲の人間も、飲み会を開き、愛之助を参加させる以上の手助けは出来なかった。

節子は男性である。
性同一性障害ではない。
すなわち、オカマであった。







Android携帯からの投稿
愛ノ介は電車に揺られながら、勤め先である、とある町工場へ向かった。
職場に着いた後も、愛ノ介は今朝の出来事を思い返していた。

(それにしてもあの不思議な体験は何であったのだろうか(´Д`?あの夢を今日現実のものにしようと外に出たが、果たして俺はお相手願えるのであろうか…)

不安に押し潰されそうになりながらも、愛ノ介は懸命に、自身の職務を果たしていた。
その時、

(痛っΣ・Д・)

愛ノ介は平常心をなくした、まさにその瞬間、ハンドプレスに指を挟んでいた。
すぐさま駆け寄る、呑み仲間でもある同僚達。
その中で節子が声をかける。

「大丈夫かぇ、愛ちゃん?」

愛ノ介は同僚を見回し、血の気が引いて行くのを感じながら、

「大丈夫です、すみません」

と節子たちに言葉を返し、やがて各々の持ち場へと帰っていった。


そして、愛ノ介は激怒した。
このry


愛ノ介は誰にも気付かれぬよう、ゆっくりと人事部へ向かっていた。




愛ノ介は激怒した。
この職場には女がいないのか!
いたとしても、それは、生理もあがり、チmポが生えて来たような妖怪ではないか!

愛ノ介は激怒した。
会社の人事はホモか?
何故女子を採用せぬ?
いたとしてry


愛ノ介(37)は餓えていた。いわゆるセックスレスである。
すっとした顔立ち、温厚な人柄、決してモテぬわけではない。言い寄ってきた女子の数々を見る限り、むしろモテる。
だが彼は彼女たちに関心がなかった。そんな事を37年繰り返してきた。
彼が欲したのは愛と性の完全なバランスの支配であり、一時は燃え上がるが、やがて冷める様な恋ではない。
それゆえセックスレスが37年も続いた。
むしろ童貞である。


その朝、愛ノ介は夢を見た。
彼は、運命の人と思える女性と出会い、恋が愛へと代わり行く日々を胸に、そして、愛と性が出会う瞬間に立ち会った。
燃え上がった彼らは互いを丹念に、そして味わうように舐めつくし、やがて愛ノ介は全ての想いをもう一つの自身に託し、彼女に包まれた。
「好きだよ、愛してる。」
そんな愛ノ介の、生まれて初めての愛の言葉を、彼女は吐息で包む代わりに、愛ノ介に言った。
「ちょwそれお尻www」


布団から起き上がる二つの愛ノ介。
間もなく、肌着にある粘り気に気付いた愛ノ介は、この一夜にして自身が抱き続けた、愛、真実、性、それらの支配、これらが意味するところがハッキリした。

使命感に満たされ、新たな決意を胸に愛ノ介は職場へ向かった。



Android携帯からの投稿