『戦争の日本近現代史』 加藤陽子 講談社現代新書 | ぷぷぷ日記

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更新は思いついたとき。

たいへんためになった。これまでの戦争がどのような情勢の流れで行われてきたのか、その時国民は戦争遂行についてどう説明され説得されたのか、ということを中心に検証されている。

本屋に絶対ないと思ってネットで買ったが、近所の本屋でなんと平積みになっていたのを発見。戦争特集をやっているところだった。今、尖閣諸島、北朝鮮、米軍基地問題などなどがあって、日本も軍備について考えなければという人が多くいるということかな。けっこう過激な偏った本も売れているようなのが気になりますが。

加藤氏の本では
●ロンドン軍縮会議の結果、海軍は対米戦に勝てないとした
●満州事変を起こした頃、日本は経済的にアメリカに負うところが多かった

という情勢でありながら太平洋戦争に突入していった経緯がどうも納得できなかったのだけれど・・・

加藤氏の本でとても腑に落ちたのは日露戦争後の「山形有朋の憂鬱」という項でした。憂鬱とは、日露戦争は勝利に終わったというもののロシアに大打撃を与えたわけではなく、復讐戦に備えなければならない。日露戦争では現役兵だけでなく市井の予後備の兵を動員したが、これが予想外によく活躍した。これは「維新中興の偉業によりて養成せられたる国家の元気があったからである」。多大な納税と兵役義務をこなした果てに賠償なしの講和に終わった。国家に失望した国民に、今後はこのような元気は期待できない・・・というものです。

日露戦争までの戦争は美しく語られ、それ以後の戦争は悲惨さを強調して語られるということがあります。日露戦争までは日本が明治維新を経て国際社会に認められるまでの上昇志向を国民全体が共有した青春時代だったのでしょう。

それ以後の戦争については、歴史というにはまだ生々しく、冷静に考えられなかったのが今まででした。ようやくこれを検証する時期がやってきたという気がします。