先日、つまらない映画を見た。

見始めた時に止めれば良かったのだけれど、一人で見ていたわけではなかったので、そのまま2時間見た。

タイトルは「六月燈の三姉妹」

平らなのだ。

空気感も浮き沈みも立体感も何もなく、

ただ、垂れ流しにストーリーだけが進んでいく。

こんなものは映画ではない。

 

勿論、一番悪いのは脚本に違いないが、

それを払拭するだけの演出もなく、

役者は(脚本のせいと言って仕舞えばそれまでだが)誰も魅力がなかった。

 

私たちが楽しむのは、その世界観であり、空気感であり、

映画を観終わった後に、その空気に包まれていなければならない。

 

ああああ、無駄に疲れる2時間を過ごしてしまった…

がっかりした時、私が何をしたかというと、

それを打ち消すために、映画を観た!

無難に楽しめそうな映画を、ササッと選んだ。

 

「今夜、ロマンス劇場で」

とりたてて、芸術的に素晴らしいという作品ではないが、

それなりに楽しめるに違いないと思った。

実際、ラスト近くで少し裏切られ、

結局、私の大好きなラブストーリーだったので、(かなりの純愛)

泣いた。

 

空気感も素晴らしかった。

現代の病院で、老人が若い看護師に話をしているところから回想のようにストーリー部分に入っていくのだが、

2回目に病院に戻った時には、それが回想シーンであったことを忘れていた。

それほど映画の世界に、ストーリーの世界に引き込むだけの力があったということだ。

 

そして、観終わった時、最初に見た映画は、跡形もなく消え去っていた。

 

良かった。

 

あのままベッドに入ったら、寝付きも悪そうだったもの。

 

オンデマンドのおかげで、すぐに映画を観られるわけだけれど、

次に見る候補映画の中に、それなりに楽しめる作品をキープしておく必要があると思った。

 

映画は素晴らしい。

たった2時間で、幸せの世界へ私を連れて行ってくれる。

しかし、

一歩間違えれば、2時間を無駄にした上に、その分重い気分だけが残る。

 

映画でも演劇でも本でも、

あまりつまらない作品に自分の時間を割きたくない。

そのためには、判断する力を養う必要がある。

そして、限りある人生で、ひとつでも多くの感動を得られるようにラッキーに過ごしたい。