私は高度経済成長期に育ちました。
つまり戦争で何もなくなったこの国が、復興していく時に生まれて育って大人になって、そのあとバブルがはじけた。
 今思えば、1990年年末、バブルと呼ばれるびっくりするほどの株価を記録するその日まで、生まれてからずーっと経済成長を続けていた時代に育っていた。
 そんな中生まれて育ったので、それが当たり前だった。つまり経済というのはいつも成長していくものだった。
 でもその高度経済成長のお蔭で、様々なひずみが出てきたことを私と同年代以上の人はみんな知っているはずなのです。

 例えば、高度経済成長期に、保存料とか着色料とかあらゆる化学物質を成長期に体に入れてしまった私たちの年代は、今の老人たちのようには長生きは出来ないだろう~とか言っています。まぁ、医学の進歩との戦いですが。

 経済経済と世界第二位の経済大国として(こんな小さな国なのに)働き続けたお蔭で、どれだけ国民の心が疲弊してきたことか。それでも経済が成長している時は、なんかみんなが笑顔でいられる(実際は、陰で色々な問題が起こっていたのだろうけれど)そんな時代でした。 

 そんな中、資源のないこの国は、原発を作り、地震大国だって、資源がなくたって、狭くたって、電力十分って、取り返しのつかないほど危険なものをこの狭い国にたーくさん作ってしまった。

 経済成長期は、人口も爆発的に増え続けたので、その食料を賄うために、大量生産、、大量消費の時代に突入していった。

 食料だけではなく、家具も、衣料も、電化製品も、精密機械も、どんどん壊れやすいモノが作られるようになり、買っては捨てる大量消費生活を続けた結果、自然環境はこんなにも悪化してしまった。

 それでも当時の人たちにはいつも活気があって、笑顔があった。
 そりゃあ、前向きに進歩を続けている時はそうなのかもしれない。

 そして、今の政権は、それをまたやろうとしている。
 経済成長を続ければ、国民はみんな笑顔で喜び、多少、あっちやこっちに問題があっても、政府にはその不満をぶつけず、元気に頑張って働く……?

 そんなことあるわけないじゃないですか。

 だって、高度経済成長期のひずみがたくさん出て、もちろんいいことはたくさんあったけれど、そのことでこの地球に大変なお荷物を背負わせてしまった、その事実に気づいている人がたーくさんいるんです。
 自分だけがお金に困らず生活できればいいんだ。って考えではない人がたーくさんいるんです。

 たくさんの人が気づいているのに、まだ気づいていない人もたくさんいて、または気づかないようにしている人もたくさんいる。
 だから、経済経済とお金を動かすことしか考えていない今の政権を支持する人もまだたくさんいる。

 でも、もう気づいていいと思うのです。あの3.11はそのためにあったのです。
 あれから3年半経っても、何も解決していない福島第一原発。
 いまだに汚染水を大量に海に流し続け、放射能汚染を止められない原発。
 つまり人間の力では、どうにもならないお荷物があそこにあるのに、それに目をつぶって自分の生活だけ守ればいいわけではないし、自分の生活はもう守れない時期に来ています。

 大量消生活を辞めませんか?

 なるだけ自給自足に近づけて、無駄をなくし、ゴミを減らし、自然と共存して生きることを、少しだけ考えたらもっと幸せになれると思うのです。
 出来ることにはそれぞれ限りがあるけれど。

 高度経済成長期に、働いて働いて、会社のために働いて、得たものは東京近郊に、ほとんど庭のない一戸建ての家か、お隣の顔も分からない閉鎖的なマンション。
 気づけば、近所にお友達もいなくて、年取るごとに、喋る人が減って、家族も減って。
 つまり世界第二位の経済大国は、結局、多くの豊かな人を作らなかったのです。
 この国は、精神的にずーっと貧しい国になってしまったのだと思います。
 
 原発事故をきっかけに、今度はモノを減らして、そのかわり精神的に豊かな国になっていくチャンスを戴いたのだと思います。
 
 現在、経済では世界第三位になり、近い将来、その順位がもっともっと下がって行ってもいいじゃないですか。
 人口が減るので確実に下がります。
 でも、もっともっと順位が低い国でも、住みやすく、心豊かな国はいくらでもあります。
 これだけ勤勉な国民性なのだから、みんながその価値観を変えていけば確実にいい国になるはずなのです。
 
 その勤勉さを、一部のずる賢い政治家に利用されないで下さい。
 そうやって洗脳教育されることで、この国は、自滅していく太平洋戦争に向かい、敗戦が続いても、お国の為と多くの若者が無駄に死にゆく結果になったのです。
 今の時代は、あのころとは違って、自分の頭でモノを考え、少しは自分の意見を自由に言えるようになりました。
 だから、周囲の人と会話することで、事実をつかみ、一部の政治家や、メディアの言うことを全面的に受け入れないで、自分の価値観を磨いて行けばいいと思うのです。

 私は、仕事で若い人たちと出会うチャンスがあるので、彼らによく言っていることがあります。
 もう(例えば)18歳にもなったら 親の価値観から離れなさい。親が言ってたことが100%正しいわけではないのだから、自分の頭で考えて、自分の価値観を持ちなさい。
 そして選挙に行って貰いたいのです。

 私は、この4月に消費税が上がったことをきっかけに大量消費生活からおさらばすることにしました。
 今後、大きなもの、家具とか、電化製品とか、粗大ごみになるモノは、基本的に生涯使うつもりのモノしか購入しない。
 洋服は、とりあえず、今持っているものが古くなって着れなくなるまで新しいモノを購入しない。

 ゴミを出したくないのです。
 再利用できるものは、たとえば綿の服は、その後、雑巾になったり、油取り紙になったり、大活躍してからゴミになる。そういうモノだけにしていきたい。
 生ごみもほとんど出さずに肥料などにしていきたい。
 そんな生活を実行に移すために今着実に一歩一歩前進しています。

 そしてそれは無駄なものをたくさん購入しては捨てていた大量消費生活よりもはるかに楽しいと感じています。
 何故なら工夫が必要だからです。それはとても人間らしい作業だからです。
 ちょっと面倒なことはあるけれど…。

 モノをゴミにして捨てるのにはいつも罪悪感がついて回ります。
 安心して生活していくために、自分の手で、目で確認し安心できるものだけを口に入れたり、周りに置く、そんな生活に変えていくことを今望んでいます。