中山七里著
集英社文庫
年末に買っておきながら、読んでいなかった小説を、整形外科で長く待つことを想定して持参した。
結果あまり待たされず…
でも読み出したら止まらない、午後の予定までの約2時間、帰宅後の1時間、で斜め読み、一応読了ということにする。
東日本大震災直後に起こった一つの殺人事件から物語は始まる。容疑者はその場で逮捕されたのだが…
まだ終わっていない震災と原発事故を、リアルにそして改めてその理不尽さと恐怖と未だ終わりの見えない放射能汚染とを、これでもかというほどに描きつつ、物語は進んで行く。
解説でも書かれていたけれど、後半は本当に一気に読まざるを得ない。なんで…どうして…どうなる…そんな想いのままに最後まで、読後は希望というよりも、複雑に絡み合った哀しさと怒りと失望…
小説が現実とフィクションの間で語られる物語だとわかってはいても、これが現実だったら…と思うと、言葉にならない。
ありえる、と思えてしまう今があるからかもしれない。
この後の「ギリシャ神話もの」読みたいようなやめておきたいような複雑な気分だ。