ここ数週間、篠田真由美さんの建築探偵桜井京介シリーズにはまっている。
この本は文庫版での最新版、シリーズ残り数冊でそろそろエンディングが近いことを感じさせる内容だった。
シリーズを通して結構家族の問題がキーになっていることが多いのだが、今回も根にあるのは家族、夫婦、親子、兄弟、の葛藤。
この本を読んでいる時に現実の場でも家族の問題を聴いてしまった私には、現実と小説が微妙にシンクロしてどうにも落ち着かない感じだった。
もちろん現実の話の中では殺人事件が行われるわけでも、過去の記憶のトリックなんてことはないのだけれど、過去の出来事や関係から抜け出せずにもがく人の負のエネルギーがいかに強いものか、を感じざるを得なかった。
人が育っていく中で家族とは一番近く且つ影響力が強い関係、その関係が歪んでしまうことはその人の未来まで歪んでしまう可能性を秘めている。
けれど、その歪みは修復できないものではなく、幾つになってからでも家族だからこそ、修復可能な関係でもあると、私は信じたい。