・将来への不安
加藤連は今日も強烈な眠気に襲われていた。
ここ数週間ずっと眠っている。
起きたくても起きられない。
俺は将来どうなるんだろう、と不安に思う。
まだ中学生だというのに、既に周りと比べて遅れを取っている。
何とかしなきゃ。
気持ちだけが焦る。
けれど、何しろどうしても眠くなって、1日に20時間ほども寝てしまうのだ。
平林莉子は彼の子の不安に付け込んだ。
「世の中には不思議な病気があるものね。その悲しみ、莉子が奪ってあげるわ。」
連の心の中から不幸が奪われる。
幸福の戦士、5人がすぐに駆け付ける。
ほのかがマジカルレンズを不幸の残骸に向ける。
1日中眠っている少年の姿が映る。
激しい頭痛や不安感にも襲われているようだ。
「この映像って...」
ほのかが首を傾げる。
その時、梨乃が口を開いた。
「この病気は、多分、クライネ・レビン症候群... 100万に1人か2人の割合で発病する難病だわ。過剰な眠気と睡眠時間の延長が、認知や行動の変化とともに、繰り返し現れるのが特徴よ。この病気が発症する原因は解明されていないわ、現在ではもちろん、あたしがいた未来の世界でも...」
少し間を置いた後、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。
「あたし、未来から来たの... 過去を変えるために...」
事情を聴いて驚く3人。
だが、一ノ瀬海翔だけは最初から感づいていたのか、驚く気配を微塵も見せなかった。
梨乃がなぜ病気などに詳しいのかと言うと、彼女の両親は未来で医療職に就いていたからだ。
その影響を受けて、梨乃も医学の知識を自然に身に着けてきたのだ。
また、学力も医学部を狙えるようなポジションに位置していた。
「人の病気に漬け込むなんて、許せない。ミラクルフューチャーフィニッシュ!」
梨乃が弓を弾く。
それは見事に不幸の残骸の身体を貫通した。
不幸の残骸が光となって消え去る。
未来の世界では、現在の世界より医療技術が進歩している。
病気に対する理解も当然深まっている。
けれど、それでも解決に至っていない病気も多いのだ。
医師たちや研究者たちもとても熱心にそれらを解決しようと奮闘している。
そのような病気を少しでも多く減らすというのが、梨乃の両親の願いだった。
梨乃は初めて、他のデューグリュックたちの前で変身を解除した。
ほのかと恵理が驚きの声をあげる。
謎の戦士の正体が、あの噂の転校生、白石梨乃だと知ったからだ。
梨乃は他の戦士たちに自分が未来から来た存在であることは明かさないで欲しいと懇願した。
他のメンバーたちは快くそれを承諾した。
この出来事により、梨乃と他の4人との距離が一段と縮まったのであった。
