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※本記事には一部過激な表現が含まれます。ご了承ください。


・資本主義の失態

 

「どうして、俺が、どうして俺がこんな目に...」

 

大学合格者の受験番号一覧を見て、池田敦は頭が真っ白になった。

 

いくら探しても、自分の番号は見当たらない。

 

なぜだ、なぜ見当たらない。

 

6年間もの努力は全て水の泡だったのか。

 

何のために進学校に入学したのか。

 

何のために青春を犠牲にして勉強をしてきたのか。

 

今までの努力、今までの人生が全て無意味に思えてくる。

 

自身の進むべき道に行くことが全て、医学部に進学することが全てというのが彼の価値観であった。

 

受験というシステムには勝者と敗者が存在する。

 

言うまでもなく勝者と合格した者、敗者とは合格できなかった者のことだ。

 

大学合格という栄光を掴み、勝者にならなければ生きている意味がない、そう思っていた。

 

つまり、受験合格こそが全てという誤った価値観のもとに、視野狭窄の状態に陥っていたのである。

 

しかし、人生の勝者というのは必ずしも受験を制した人間だけに与えられるわけではない筈である。

 

仮に受験が上手く行かなかったとしても、将来的に幸福になることができれば人生において勝者と言っても過言ではないだろう。

 

しかし、この時の彼の尺度は社会の中で認められる様々な能力のうち、学歴という1点に集約された。

 

彼は、自身の力量の無さを周囲の人間に向けて転化したのである。

 

すなわち、彼は懐に刃物を隠し持って、自身が目指していた大学のキャンパスの校門の少し前に待機した。

 

「大体、能力主義というものがあるから差別やいじめが起こるのだ。勉強ができるできない、仕事ができるできない、このような指標が無ければ誰も個々人の持つ能力など気にはしない」

 

心の中で毒づきながら、彼は孤独に耐えその時を待ち構えた。

 

辺りは赤く染まり、文字通りこの世の地獄絵図となった。

 

犠牲となった彼らは、高い志を持ち、将来の希望に満ち溢れていた。

 

しかし、彼らの存在は資本主義の経済から敗退した愚かな1人のはぐれ者によって望みを絶たれたのである。

 

このような最期を遂げた者たちの不幸は計り知れない。

 

言うまでもなく、デストロイアーに目をつけられた。

 

「ソノフコウ、キュウシュウスル、ソノフコウ、キュウシュウスル、」

 

フコウが1か所に集中し、大きな不幸の残骸が姿を現す。

 

それはまるで全身を刃物で覆われているロボットのような見た目であった。

 

幸福の戦士5人が駆けつける。

 

ほのかが不幸の残骸に対してマジカルレンズをあてて、絶句する。

 

「可哀そうにな、受験に受かれなかったから周りの奴らに八つ当たりってか。ダセェ男だ」と海翔。

 

「無駄口叩いてないで戦いなさいよ」と梨乃。

 

「マジカルソードブレイク!」

 

湊音が剣を振りかざすが、それは不幸の残骸の大きな身体に当たっていとも簡単に砕け散った。

 

「モチヅキミナト、マジカルソードブレイク、モチヅキミナト、マジカルソードブレイク」

 

デストロイアーがまたもやデータをインプットする。

 

「マジカルシュート!」

 

ほのかの必殺技も不幸の残骸に跳ね返され、デストロイアーの手によってデータとして吸収される。

 

不幸の残骸が無数の刃物を発射する。

 

5人がそれを避ける。

 

「しまった」と海翔。

 

刃物は敦という青年の心の中を見事に貫通して、その腹部に突き刺さる。

 

青年の身体が傾く。

 

まるで地震が来たかのように心の中が揺れる。

 

バランスを崩したほのかの手を恵理が握る。

 

「大丈夫?」

 

「うん、何とか。ありがとう!」

 

海翔が珍しく真剣な目で梨乃の方を見る。

 

「梨乃さん力を合わせましょう、僕たち2人の天才が力を合わせればきっとあいつを倒せるはずです。」

 

「自分のことを天才って、恥ずかしくないの? まあいいわ、今回だけよ。」

 

海翔は右から、梨乃は左から不幸の残骸に向かって走っていく。

 

2人の身体が真ん中で交わる。

 

「ブレイクスルーフィニッシャー!」

 

2人の身体が不幸の残骸の中を貫通する。

 

不幸の残骸の身体が内側から燃え上がって爆発する。

 

「なんてパワーだ」と湊音。

 

「まあ最初に技を思いついたのはこの僕ですけど」と海翔。

 

「あたしの方が先に攻撃を加えたわ」と梨乃。

 

相変わらず仲の悪い2人であった。

 

しかし、この2人は後の将来が約束された人生の主役である。

 

池田敦のように過酷な資本主義の中で敗北することなく、未来への栄光を掴み取るのであった。

 

しかし、それはまだ先の話である。

 

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