僕たちのもとに、谷口詩織と田沢由奈が頭を下げに来た。

 

何でも、真紀からのいじめにこれ以上耐えられそうにないというのだ。

 

彼女たちは身体中に傷を負っていて、見ているだけで痛々しかった。

 

「もっと苦しんでもらってもいいんだよ。君たちが拓斗に与えた苦痛はこんなもんじゃない。」

 

そう言うパクシアを、僕は片手で制した。

 

「パクシア、もう良いよ。僕は確かにいじめられていてとても苦しかったけど、同じことを繰り返しても意味がない。」

 

「はぁ?君は何を言ってるんだ?彼女たちにはきちんと責任を取ってもらわないと...」

 

「別に僕はもう良いよ。こんなことを繰り返すのはごめんなんだ。」

 

「君はそれで良いのかい? 君を殺した奴らが何事もなかったかのように生き残るんだぞ。」

 

「だから僕は、真紀たちとも決着を着ける。パクシア、僕に彼女たち全員と戦っても勝てるような能力をくれないか?やることをやったら、僕は成仏するよ。」

 

「本当にそれで良いのかい?」

 

「うん。」

 

力強く頷く。

 

「じゃあ、一定時間相手の動きを止められる能力、それから必要な時に相手を必要とする場所に召喚できる能力をあげよう。」

 

パクシアが、僕の手を握る。

 

黄色い光が、身体に差し込んでくる。

 

放課後、僕たちは下校途中の真紀たちの前に姿を現した。

 

「死んだ人間が何しに来たんだよ。とっとと失せろ。」

 

いつも通りの調子の真紀。

 

「明日までに考えろ。今後二度といじめをしないか、それとも俺に報復されるか。明日の放課後、桜木公園で待ってる。」

 

「あらそう。勝手にしな。」

 

僕たちの言葉を半ば無視して、いつものように下校する真紀。彼女は、恐らく明日の放課後になっても公園に来ないだろう。

 

僕は彼女とその仲間たちに、一生消えない傷を負わせる覚悟を決めた。

 

 一方、真紀は下校中もずっと不機嫌だった。山川拓斗という人間に苛ついていたのだ。

 

「何であんな奴が、この私に決闘を申し込んでくるのよ。身の程知らずにもほどがある。」

 

「まぁまぁ、あんなクソみたいな奴のことほっといて、楽しいこと考えましょ。由奈の奴そろそろ死んでくれないかな。」

 

どうにかして真紀を宥めようとするまどか。

 

今後自身の身に起こる運命も知らず、彼女たちは余裕の表情を浮かべていたのだった。