この世には、一度はまってしまったら二度と抜け出すことが出来ない闇が存在する...

 

光輝いている人があふれている一方、闇の住人も多数存在するのだ。

 

そして双方が交わることはあまりない。

 

例えば、学生時代が楽しかったという人がいるとする。これが光の住人である。

 

だが、学生時代でも地獄のような人生を歩んできた者たちはいる筈で、光の住人からは闇の部分は見えずらい。

 

これは逆の立場でも同じことが言える。

 

例えば、子供時代に戻りたいと常に思っている大人は闇の住人。

 

自分自身が闇の中で生きているため、大人でも幸せな人はたくさんいるという光の部分が見えなくなってしまっているのである。

 

俺もそんな闇の住人の1人。

 

俺の名前は茅沼徳久、またの名をエミル・キピータ......

 

俺はサーパスとしてこの世に生まれてしまった。

 

サーパス、人間を滅ぼすために生み出された存在。

 

だが、俺には当初人間を滅ぼそうという気持ちなどなかった。

 

他の生き物から命を奪っても得られるものなど少ないのだ。

 

だから、人間社会に溶け込むようにしていた。

 

だが、人間と共存する生活は長くは続かなかった。

 

俺は奴らに迫害されるようになっていった。

 

理由は俺の血の色が紫色だあったからである。

 

サーパスとして生まれてしまった俺の身体の構造は根本的に彼らとは違っていた。

 

そんな単純な理由だけで、親からも同世代からも迫害されることとなる。

 

俺には兄という存在がいたが、親は兄のことしか人間として認めていなかった。

 

食事やおもちゃなども兄にだけ与えられる。

 

俺は人間らしい生活を一切させてもらえなかったのである。

 

そして、同世代の奴らからもいじめられて育ってきた。

 

精神的なものならまだしも身体的ないじめも日常茶飯事であり、とても耐えられるものではなかった。

 

それでも、サーパスとしての能力を発揮できたならまだ良かったかもしれない。

 

だが、俺のサーパスとしての能力はお世辞にも高いとは言えなかった。

 

寧ろサーパスとしてのランクは一番下であった。

 

それだけではなく、勉強、運動、音楽に至るまで人間社会の中でもすべての分野において最下層だったのである。

 

このことがいじめを助長していたのは言うまでもない。

 

だが、こんな俺にも一生に一度だけ友達と呼べる存在がいたのだ。

 

それが市川明彦である。

 

彼のことは今でも決して忘れない…