・表と裏
今日のイーグルは大変な強敵だった。4人、いや、嘉穂も含め5人は全力で相手をしたが、相手は倒せずに日が暮れた。5人は一時的な撤退を余儀なくされた。次の日の早朝、彼女たちが現場に向かうとイーグルは呑気に横たわって昼寝中だった。絵里が容赦なく目と頭をライフルで打ち抜く。嘉穂はそのおぞましさに目を覆った。その時、向かい側から声が聞こえた。
「That’s cowardly !」
立っているのは鼻立ちが整った金髪の少女。
「shut up! Don’t disturb me」
そう言い放つなり、理恵は金髪の少女の頭もライフルで同様に打ち抜いた。
これはもう日常的な光景だ。彼女に逆らったものは皆こうなる。この世界はやさしさ、正義だけでは生き残れない。強くなければ駄目なのだ。そんな彼女に挑む実力者が再び姿を現した。相川幸音。今までの魔法少女とは違い、隙を見せない本物の実力者だ。テレビや新聞は彼女の松田絵里に対する宣戦布告を大々的に報道した。「松田絵里に喧嘩を売る悪の魔法少女現る」、まるで彼女が悪者みたいな言われようだ。戦闘の腕は絵里と互角。理恵の連れの4人は彼女の勝利をひそかに期待していた。いよいよ決戦の時。
「あなたの天下も今日でおしまいよ。私がこの腐った魔法少女会を一新するわ、松下理恵、あなたを倒してね。」
「ふざけたことを。倒されるのはお前だ。」
理恵の声が一段と低くなる。
幸音の取り出した武器は弓。リーチが長いが絵里はそれを器用にかわす。戦いは互角で伯仲していた。しかし、一瞬の間に幸音の首に何かが刺さり、彼女は倒れた。
「あなたって、ほんと、どこまでも卑怯ね」
これが彼女の人生にとっての最後のセリフになった。刺さったのは猛毒の吹き矢。理恵は何人もの裏の味方をも金銭と引き換えに用意していたのだ。好美は内心悔しがっていた。彼女自身もいつの日か隙を見て絵里を倒し改革を行うつもりでいたのだ。邪魔が入らなければ勝敗の行方が分からなかっただけに、惜しかった。だが、時の流れは速く、新たなスターが現れるまでにそう長い時間はかからなかった。