西園寺かずとと五十嵐ゆりなはほぼ同時に意識を取り戻した。
まだ痛む身体の傷を押さえながら、歯を食いしばって立ち上がる。
「サーパスに人間社会を滅ばさせてたまるか。」
「サーパスを倒すのが、私たちアノマニスの役目」
2人はほぼ同時に言葉を発する。
その瞬間、2人の身体が内側から光った。
そして彼らの傷が徐々に癒されていく...
ロルキー・ソネマは鏡を通して強烈な光を感じていた。
光は西園寺かずとと五十嵐ゆりなから放たれている。
2人のミーティアの強い気持ちが彼らに新たな力を与えたのだ。
その時、落雷の音が複数回に渡って響き渡り、空が不気味に暗く光った。
「あれは...」
「人間社会の破滅は近い。急がなければ ...」
西園寺かずとと五十嵐ゆりながそう言うと、2人の身体は光に包まれた。
気が付くと、彼らは見慣れぬ景色の中に立っていた。
目の前には断崖絶壁の赤い岩。
マグマのようなその岩は地獄という言葉を連想させる。
更に、その周りにはサーパスの大群があった。
アノマニスたちが今まで倒してきたサーパスから、初めて見る姿のサーパスまで、計200体ほどのサーパスが蠢いている。
大群の後ろには、ディプラ・ボンザともう1体の見知らぬサーパスが余裕の笑みを浮かべて華々しい見た目の椅子にもたれ掛かっている。
ボンザの隣に腰かけているサーパスは雅やかな格好をしており、一国を治める王のような貫禄があった。
恐らく、彼女が、サーパスのラスボスのような存在に当たるのだろう。
西園寺かずとと五十嵐ゆりなは戦闘体制に入るための構えをとった。
その頃、鈴木奏多は薄らぐ意識の中で目を開けた。
痛む身体を引きずりながら一歩一歩、手と足を使って前進していく。
ミーティアの力を奪われたとしても、人間を、この世界を守ってみせる。
奏多は身体全身に力を入れながら、世界を救うために、一歩一歩、少しずつ前に進んでいくのだった...