ディプラ・ボンザがBランクのアノマニスたちと闘っている最中、数体のアノマニスがルド・ミンナの方に向かっていく。

 

その中の一体がミンナに向かって発砲した。

 

弾はミンナの胸を見事に貫いた...

 

ディプラ・ボンザが悲痛な叫び声をあげる...

 

一方、俺、エミル・キピータは3体のミーティア相手に苦戦を強いられていた。

 

1人で複数人の相手をするというのは意外と難しい。

 

俺は1人で複数人を相手にする鍛錬も嫌というほど行ってきた。

 

鍛錬をしている時は1対複数でも十分に闘える気がするのだが、実際に実践をしてみると意外と技術がいるということが実感できる。

 

俺は強風で鈴木奏多を吹き飛ばし、西園寺かずとに強烈な蹴りを入れた。

 

2人はバランスを崩したが、その時、後ろから五十嵐ゆりなの弓が放たれた。

 

その弓は見事に俺の身体を貫いた。

 

宙に浮いていた俺の身体は重力から解き放たれて地上に向かって沈んでゆく...

 

自分の人生の歴史が走馬灯のように蘇る。

 

俺の人生はいったい何だったのか...

 

誰からも相手にされずただ1人孤独に死んでいく人生...

 

もっと家族に愛されていれば...

 

支えてくれる人が見の周りにもっと多ければ...

 

そうだったら、もしそうだったら、闇の住人として過ごさずに済んだかもしれない...

 

薄らいでいく意識の中で俺はそう思った。

 

その時、呻き声のようなものが辺り一面に響き渡った。

 

声がした方向を見ると、腕の中にルド・ミンナを抱えているディプラ・ボンザの姿がそこにあった。

 

「あたしみたいな人と、一緒にいてくれてありがとう...」、ルド・ミンナは最期の言葉を告げるとディプラ・ボンザの腕の中で光となって消え去った。

 

ディプラ・ボンザは悲しみと怒りの混じった叫び声をあげると、近くにあった石を刀に変え、Bランクのアノマニスたちを片っ端から切りつけた。

 

50体以上のアノマニスたちの首と血液が辺り一面に飛び散る。

 

ディプラ・ボンザはものすごい形相でミーティアたちの方に向かってくる。

 

そして3人に向かって刀を振るった。

 

かずとが手でバリアを作り刀を防いだが、ボンザの力があまりにも強かったので工法に弾き飛ばされた。

 

後ろにあった岩に思いっきり頭をぶつけたかずとは頭を押さえながら立ち上がった。

 

その時、かずとは衝撃の余り倒れそうになった...

 

たくと... そう、たくとだ。

 

あいつが、あの女が、弟であるたくとを殺したんだ...