更に短髪の少女は言った。
「私たちの世界、ミラクルトウェルブはシサーガの脅威に脅かされています。こちらの世界に来るには夜の12時に誰にも見つからずに家を出て、学校の桜の木の周りを12周し、「ミラクルトウェルブの世界よ、我を呼びたまえ」と12回唱えてください。」、と。
どんな手段でも良いからこの世界から逃げ出したい、常にそう思っていた彼女の心は容易にそれを実行する気になった。
美桜は夜12時になる前に両親が寝ていることを確認して家を出た。
もし見つかったらただでは済まないだろう...
幸い、何事も無く家を出ることができた。
学校に着くと、季節外れの桜が咲いていた。
美桜は「もしかしたら神様があたしを救ってくれたのかもしれないな。」と思いながら夢に出て来た短髪の少女に言われたことを実行した。
次の瞬間、強い風が吹き、彼女の身体は光に包まれていた。
気がつくと、森の中にいた。
どこからか夢の中で見た短髪の少女が現れて彼女に言った。
「あなたには、シサーガと闘うために、魔法を使う訓練をしてもらいたいわ。」
彼女は良くわからぬままそれに同意した。
「現実から逃げられればどんな世界にでも行きたい。」というかねてからの願いが叶ったのだから、この世界で頑張ろうと思ったのだ。
魔法を使う訓練は最初は慣れなかったが、夢の中でみた短髪の少女に教わるに連れてどんどん上達していった。
彼女がサーヤという名前だと言うことも知った。
美桜は「ずっとこの世界で暮らしたい。」と思った。
シサーガという怪物が復活しそうで、いずれ彼らと闘わなければいけない、そのために定期的に魔法を使う訓練をしなければいけないとサーヤから聞いたが、現実世界にいて殴られたり蹴られたりするよりは遥かにマシだと思った。
サーヤは美桜の他にも2人この世界に来て魔法を使う訓練をしていた人がおり、今は元の世界に帰っているが、シサーガが出現したらこちらの世界に来させるとも言った。
「あたし以外にこの世界に来た2人って誰だろう。」、美桜はそのことが気になっていた。