僕の教えている一橋大学には如水会という同窓会組織がありまして、その如水会の講演会に呼んでいただきました。場所は名古屋。最初に名古屋市長の河村たかしさんのスピーチがあり(それにしてもこの方のお話、いつ聞いても独特の味わいがありますね)、次に僕が競争戦略についての話をし、その後一橋大学卒の3人の起業家とのパネルディスカッションという内容でした。

 

講演中のハゲ。

 

で、このお仕事では3つの嬉しいことがございました。

 

ひとつは、沼上さん、青島くんと久しぶりに仕事ができたことです。このお二人からは僕が大学院生のころから大きな影響を受けたわけでありまして、沼上さんは大学院のゼミの先輩、青島くんは同級生でした。現在では沼上さんは副学長で、大学を代表してスピーチをなさいました。で、現在はイノベーション研究センターの教授をやっている青島くんが総合司会。

 

若いころの僕は、沼上さんの思考の体幹の強さと青島くんのロジックの切れとスピードに日々圧倒されておりまして、「こういう人たちにはちょっと敵わないので、別の路線で行ったほうがイイな、これは……」と思わせまくられやがっていました。で、案の定、お二人のようには学問的に大成できず(といっても沼上さんと青島くんもだいぶ持ち味が異なるわけですが)、今のような(よく言えば)独自路線?に走ることになるわけです。今のようにそれなりにやりがいを感じつつ楽しくお仕事ができているのは、沼上さんと青島くん、このお二人に負うところが著しく大きいわけですね、ええ。

 

で、当日、お二人が話しているところを聞いていますと、このテイストが30年前とまったく変わらない。当然ですけど当たり前ですけど、コンビネーションはバッチリ。実際のお仕事でご一緒することは久しくございませんでしたが、その不変ぶりに昔を振り返り、ありがたいことだと思いました。

 

二つ目は、パネルディスカッションで(僕よりも)若い起業家と話をし、彼らが大学を出てから10数年で、それぞれにヒジョーにイイ事業を創り、経営者として実に真っ当な生き方をしているということを知ったこと。その3人とは、レアジョブの加藤さん、freeeの佐々木さん、バーニャカウダの古川さん。

 

それぞれに自社の戦略ストーリーをお話いただき、僕を含めて4人でディスカッションするという内容だったのですが、いずれも起業と戦略の本質をとらえたバラシースなご商売でした。僕の考えごとのど真ん中を刺激していただき、大変勉強になりました。

 

これがそれ。

 

嬉しいのは、この人たちがいずれも商学部卒業で、国立の本校の学部で教えていた最後のころに、僕の講義を受けた経験があるということです。「先生の講義はその後の仕事に大いにインパクトがありました」と言っていただき、嘘でも嬉しゅうございます。

 

で、三つ目は、これまた久しぶりに現代の怪人、所先輩に会えたということ。所のおじちゃまは僕の人生の公私(公30%、私70%)に渡って不必要なまでに甚大なインパクトを与えてくれた方。僕が52年の人生で邂逅を果たした人の中でおそらくもっとも「面白い人」であります。

 

このブログをずーっと過去のほうにたどっていきますとちょいちょいご登場なさいますように、かつては一緒に安孫子先生にお茶を習ったり、(僕の中では伝説になっている)「テロワールの会」での怪談など、おじちゃまとの思い出だけでご飯三杯はいけます。とにかく危険なほどに面白い。こういう人が小説の中だけでなくホントに実在するのが人の世の奥深さ。

 

僕の左隣がおじちゃま。講演会あとのパーティーにて。

 

おじちゃまは震災の後仕事の拠点を青山から岐阜に移しまして、お目にかかるのは数年ぶりだったのですが、まったく変わっていません。 当然ですけど当たり前ですけど 。久々に所節に被爆しまして、心身ともに健康になりました。

 

この講演会の企画などで中心的な役割を果たしていただいたのが写真のいちばん左にいらっしゃる磯輪さん。お世話になりましてありがとうございました(写真も磯輪さんのブログからいただきました)。磯輪さんが経営していらっしゃるISOWAという機械メーカーは知る人ぞ知るクオリティー企業。これほど健康にして健全、真っ当な生き方はあるのか!と思わされるほど素晴らしい。僕も磯輪さんのような仕事と生活をしたいものだと思いますが、どうも手遅れのようでして、来世では見習いたいと思っております。