僕のようなド中年、しかも頭髪が禿げ上がった後期高齢ド中年諸君は大体そうだと思うのですが、整髪料なんて必要ない、石鹸やシャンプーなんてその辺にあるので十分、誰かがどこかで適当に買ってきたものをそのまま使っているという向きが多いように思います。

僕もこれまでずっとその手のプロダクトには全く関心がありませんで、強いて言えば頭髪や上半身をスカッとさせるためのシーブリーズを切らさないように補充しておくという程度でした。

ところがひょんなきっかけでサンプルをいただきまして、炭成分の入った洗顔料を使ってみたところ、ものすごくイイんですね、これが、ホントの話。今までは手や体を洗う石鹸でそのまま顔も洗っていたわけでありますか、それに比べまして、炭入り洗顔料を使いますと、炭には強力な皮脂除去効果があるそうでして、まるで顔の表面が一皮剥けたようにヒジョーにさっぱりするんですね、これが。

後期高齢ド中年諸君、いや前期高齢ド中年諸君もただの中年諸君もはたまた若者も、要するにあらゆる男性というものは一部の草食さっぱり系を別にすれば、ほっておくと顔の表面が脂でギトギトしてくるものなのです。朝から仕事をして夕方にもなれば、動物性油脂で顔がヌルヌルテカテカになります。自分で言うのもなんですが、これは周囲の人にとって気持ち悪いだけでなく、自分でも非常に気持ちが悪いものなのですね。

僕の場合はだいたい4時頃に仕事を上がってジムに行くわけですが、一通り筋トレをしてプールで泳いでサウナに入り、出てきた時には、朝から顔の表面にこってりと蓄積した油と汗とで、それはもう筆舌に尽くしがたいほどの気持ち悪い状態になっているわけです。もちろんその後で一気呵成にシャワーを浴び全身を洗浄してすっきりするわけですが、この局面で炭洗顔料を使用致しますと、顔が驚くほどツルツルになり、これまでのシャワーの後のスッキリ感が三倍ぐらいの勢いで増量になります。

で、考えてみますと僕の場合は髪の毛がほとんどありませんので、頭部も顔の延長、つーかほとんど顔。顔と頭がシームレスに一体化しているわけです。だったら炭洗顔料でそのまま頭も洗ってみようと思うのは至極自然の成り行き。思い立ったが吉日とばかりに実行してみますと、これがまた実に気分爽快。あまりの爽快感に、もはやある種のエンターテイメント。ジム通いがこれまで以上に楽しみになりました。

それ以来僕は炭洗顔料の虜になりまして、アマゾンで色々な種類を取り混ぜて4つほど買ってみました。ひとつはお風呂場、ひとつは洗面所、ひとつはジムの道具が入っているケースの中、最後のひとつは仕事場と、関係各方面に炭洗顔料を配備。皮脂の迎撃態勢完了。

で、先日お仕事で、雪肌精で絶好調のコーセー(経営陣が実に上品で粋な方々!)を訪問する機会がありまして、その時に今後の男性向けの商品でどういうアイデアがあるかという話になったんですね。女性が化粧品やシャンプーや洗顔料を慎重に選んで使うというのは、要するに人に綺麗に見られたいということが動機になっていますので、視点は自分以外の外にあるわけです。

ところが男性の場合、若者は女性と同じような動機を持つこともあるでしょうか、僕のような後期高齢ド中年ハゲ男ともなってしまえば、「なんだハゲじゃねえか」と言われてしまえばそれっきりなので、もはや他人からどう見られるかということはこの際どうでもイイ。ですからその手の商品についての関心もまるでなく、さっぱり消費が進まないのが自然のことわりであります。

ただし、完全に自分の内面を向いた動機を考えてみれば話はだいぶ違ってくるわけで、見た目がどうなるかはこの際置いといて、使ってみるとひたすらスッキリしたりスカッとするということだけを商品価値に据えたものであれば、未だに顕在化していない需要が割と旺盛にあるのではないかという気がします。

俗に「ラグジュアリー」という言葉を使いますが、これは単に豪華とか贅沢ということではありませんで、人に見せびらかすという外向きの価値、よりも自分にとって気持ちいいとか快適だという内向きの価値のことを指しているわけです。考えてみれば、僕にとっての炭洗顔料経験は本来の意味でのラグジュアリーなわけで、この路線での男性向けラグジュアリー商品というのは日用品のカテゴリーで色々とあるのではなかろうか。しかもド中年男性は、一度ルーティンなり習慣として確立すると、それをかなり長期にわたってしぶとくやり続けるものなので女性以上にロイヤリティの高い顧客になる恐れがあります。少なくとも僕はもはや炭洗顔料なしでは生きていけない体になってしまいました。

それにしても炭洗顔料ってホントに気持ちイイですね。どこのどなたが思いついたのかは知りませんが、僕の顔になりかわりまして深くお礼を申し上げます。