僕の大学の後輩に安川新一郎さんという人がいます。

この人がその人。安川新一郎氏。


で、安川くんは昔からとにかくよくしゃべる。で、話が長い。で、これが滅法面白い。しかも自分でいかにも面白そうに話す人なんですね、ええ。学生の頃、安川くんとの雑談が面白くて面白くて、ついつい話し込んだことが多々ありました。話しているだけである種のエンターテイメント。はじめて会ったときから25年以上の時間が過ぎていると思うのですが、これほどしゃべりが面白い人には考えてみると会ったことがないように思います。


で、安川くんが親しい友人を呼んだ集いがありまして、僕もお招きをいただきました。ずいぶんと多くの方がお集まりでしたが、その多くが彼のこれまでの仕事仲間だったので、僕にとってはほとんどがお会いしたことがない方がただったのですが、さすがに安川くん、お集まりは多士済々の面々で、短時間ながら楽しみました。中年の第4コーナーを回り早寝早起き帰宅部体質にターボがかかってきた僕は、こうした夜の集いには普段は滅多に出かけないのですが、たまにはこういうのも刺激になってeeなあ!と思わされました。



このお二人とは前々からお知り合いです。堂前さんと篠田さん(aka クフ王)。




川鍋さん(日本交通)と。前にこの方の講演を聞いたことがあったのですが、若いのに立派な経営者だ…と感心した記憶があります。



で、安川くんがこのたび転職するということで、例によって例の如く彼の長くて面白くて仕方がないスピーチがはじまりました。「こりゃ長くなるぞ…」と横で聴いておりますと、話が始まって1分ぐらいで、学生時代に爆笑しながら彼と雑談したときの記憶がぶわーっと脳内を駆け巡りやがりました。

話のスタイルが26、7年前とまったく変わっていない!いやもうびっくりするほど変わっていないんですよ、これホント。大学の学食で安川くんの話を聞いている24歳の頃の自分に入れ替わったような、懐かしくも不思議な気分になりました


で、安川くんと話しているうちに思い出したのですが、これまた26年ぐらい前、彼が僕の家に遊びに来ていて、ひたすら雑談した後、帰りに駅まで彼をクルマで送って行こうということになったわけです。

で、当時僕は好きでたまらなかったいすゞ117クーペに乗っていまして、これが19万円で購入したハイリスク車両、少し走っているうちに突然クルマが大きく傾いて、ハンドルのコントロールが利かなくなりました。どうしたことかと思って無理やり停めて降りてみてみますと、なんと左側の前輪がないんです。後ろを振り返ると、50メートルぐらい後方にタイヤがひっそりとたたずんでいたという次第。


で、このときの様子を思い出した安川くんが例によって面白おかしく再現する話を始めました。



「楠木さんが、『タイヤが取れてたよ…』っていってクルマに戻ってきて…」


「『ああ、びっくりした、びっくりした』と口では言ってるんだけど、まるで口調はびっくりしてなくて…」


「冷静に『とりあえず歩いて帰って』と言われたんで、そのまま放置して歩いて帰ったんですけど…」


…と、まあ文字にするとまるでわからないのですが、安川くんの芸風で話すととにかく面白いんですね、これが。


で、この写真は安宅和人さんにお取りいただいたのを拝借しております。安宅さんは『イシューからはじめよ』という本を書いていらっしゃいます。で、僕もこの本を読んだときに素晴らしい内容だと思ったのですが、それはとにかく議論と主張が「腹から出ている」(だから腹落ちする)からでありました。


で、安宅さんは現在はヤフーにいらっしゃいますが、以前は安川くんと同じコンサルティング会社で同僚だったそうで、安川くんに言わせると「安宅さんは当時から仕事をしていると『やっぱりイシューからはじめないとダメだよ…』とかいって、やっているプロジェクトが違うのに議論を持ちかけてくるんですよ。わりと迷惑だったんですけど…」とのこと。安宅さんがずーっと考えてやっていたことがそのまま本になっているわけです。『イシューからはじめよ』が上等上質な本になっている理由がよーくわかりました。いや、ホントにイイ本です。


結論:人間はそうそう変わらない。イイね!