僕に限らずそういう人が多いと思うのですが、僕の音楽の好みは子供のころからせいぜい22、3歳までに決まってしまいました。その後も相当に音楽がスキなのですが、同じアーティストを繰り返し聴きまくりやがっているだけで、「どこかにあるはずのバラシースなミュージック」との出会いがなかなかない。これホント。

昔スキで聴いていても長い間聴かずに忘れていたのを「あ、そういえば…」とばかりに「思いだし聴き」するということはままございます。例えば、しばらく前にこのブログでも書いたのですが、音楽映画『マッスルショールズ』を観た際に、久々にクラレンス・カーターの「パッチズ」を聴き、eeなあ!とばかりに音源を買い求めるというパターン。

ところが、これまで知らなかった新しいアーティストとの出会いがない。「新しい」といっても、ひとつ長い目で見てください。僕の場合はこの30年間に出てきたアーティストはすべて新人。レッチリやベンフォールズファイブなどはお気に入りアーティストですが、僕の中では新人扱い。

それもこれも、自分で意識的・系統的に新譜のサーチをしていないのが悪い。ただし、それにも理由がございまして、これはよさそうだな…と思って試聴したり買ったりしても、ほとんどの場合が空振りなのですね、これが。最近の例でいうと、北欧から出てきたダーティー・ループス。デビュー前から話題になっていました。そのころYou Tubeで観て、これはイイ!とばかりにデビュー盤を楽しみに試聴したところ、フルスイングで空振り。マルーン5が美メロだよ、というので聴いてみましたが、現代ポップでまるでダメ。そうこうしているうちに新しいアーティストをチェックする根性が減退していくのでありました。

で、いまのところ作動しているサーチのルーティンはひとつだけ。S18の女学校がギロッポンにありまして、ときどき営業車で仕事場に出動するついでに送っていくわけです。で、女学校のすぐ近くにあるのが、ロクロクのスターバックス。ここでS18との朝のコーシーを習慣にしておりわけですが、この店は蔦屋と一体になっておりまして、コーヒー片手に新刊書や新譜をチェックして回ることが可能。2階がレコード屋になってまして、視聴可能な新譜で気になったのを片っ端から聴くようにしております。

で、先日久しぶりの当たりを引きました。ママズ・ガンであります。エリカ・バドゥの名盤に『ママズ・ガン』というタイトルがございますが、こっちのママズ・ガンはUKのバンドであります。新譜の『チープ・ホテル』を視聴したのですが、これがイイ!美メロ!

ありとあらゆる軽音楽の要素を突っ込んで煮込んでいるのですが、煮込み方が玄人。手練れの仕事。イイ味に仕上がっていました。ただモノじゃないなと、新譜を含めて3枚ほど買って営業車内で聴き込みました。腰を抜かすような美メロというわkではないのですが、実にイイさじ加減で練り上げられた楽曲の数々。ヒジョーにポップでクール。抑制的で上品な中にもバウンスとグルーブがしっかり練り込まれています。会心の二塁打といってよいでしょう。

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僕にとっての最新(この5年間)の当たりアーティストを振り返ってみますと…


死球で出塁(のち盗塁で二進):東京事変(亀田氏の存在で知る)
ヒット:スノーホワイト・ブラックバード(ロクロク蔦屋の試聴で出会う)
二塁打:ロジャー・ジョセフ・マニングJr.(同僚の大上氏にご教示いただく)
三塁打:ソウライブ(
ロクロク蔦屋の試聴で出会う)
ホームラン:サウンド・スタイリスティックス
ロクロク蔦屋の試聴で出会う)
場外満塁ホームラン:デレク・トラックス・バンド(ソウライブのライブDVDを観ていたらデレク・トラックスがゲストで登場、いきなりシビれにシビれる)

教訓:シビれる音楽との遭遇は出会い頭の一撃。