ラリー・グラハムといえば、エレクトリック・ベースのスラッピング奏法を発明したというか思いついた奏者として、僕敵には偉大な人物であります。
なぜあのような弾き方を思いついたのかといういきさつについて、グラハム氏は自信の教則ビデオで(歌いながら)で説明しているのですが、ようするに子供の頃母親とユニット(といっても2人・・・)で音楽をしていて、ドラムスがなかった、と。で、ドラムのキックの音を出したくて弦をサムダウンしてみた、と。で、スネアの音が欲しくて、3弦や4弦をプルアップしてみた、と。ま、そういうなりゆきだったそうなのですね。
この辺、ヒジョーに内発的というか、ヒジョーに飛躍がありつつも、ヒジョーに自然な思いつきというか、グラハム氏の音楽に対するイイ姿勢をよく表しているイイ話ですね、ええ。
僕がラリー・グラハムをはじめて聴いたきっかけは、もちろんスライの"Dance to the Music"であります。このときはベースよりもその声が印象的でした。なんともいえない、太い、深い、どっしりした、濡れた、イイ声なんですね、これが!イヤ、ホント、マジでこれイイ声ですよね。
スラッピングがはじめて録音された曲はスライの"Thank You"ということになっているそうなのですが、スラッピング(つーか、当時はチョッパー)を意識して聴いたのは、もちろんスライ脱退後のGCS (Graham Central Station)であります。この人のベースは、ひたすら「スキなように弾く」という、とにかくイイものなのですが、名盤"Release Yourself"のタイトル曲を聴いたときは、これ、ベースを弾く人は大体そうだったと思うのですが、「どうやってい弾いているのか?」が皆目見当がつかないという衝撃を受けました。
ジッサイは、「振りぬけ型サムピング」(つーんですか?)ようするにサムダウンしたあとにそのままピックのようにサムアップで音を出しているというのが分かったときは、なーんだ、と思いましたが、それにしてもファンキーですね、ええ。
ファンク大魔王のブーツィー・コリンズ(この人の音楽、とくにステージはジッサイのところファンキーすぎてわりとツライ)が、「ラリー・グラハムのベースを見たときは、こっちの方向ではもう絶対にかなわないので、違ったことをやることにした(で、例の変態路線が開花した)」という名言を残しているのですが、ホントに深いファンクであります。
GCS後のグラハム氏はいまひとつ分からない人でありまして、80年代はそのイイ声を全開させてムード歌謡の歌手みたいなことになってましたね。これはこれで得がたいものでありました。
これがまたイイ顔なんですね、ええ。「すべては絶対に顔に現われる」という僕の「イイ顔至上主義」の哲学を強力に裏づけてくださいます。
今はほとんど活動していないようですが、イイ顔、イイ声、イイ音の3拍子そろったラリー・グラハム、大リスペクト!