あまり聞きなれない言葉だとは思いますが、オーディオ・マニアというような意味合いだそうです。この言葉を目にしたのはStereo Soundという雑誌です。僕は自宅改修プロジェクトの一環で、AVシステムを一新しようとたくらんでおりますが、ちょっとした参考にとそれっぽいタイトルのこの雑誌を買って読んでみたわけですね。


ところが、この雑誌は純正マニア向けの雑誌で、何の参考にもならないことが判明。僕はといえば、これまで長いこと使っていたB&Oのラジカセが5万円で売れたのを元手に、これにちょっと足してオーディオ・コンポを買おうかな、というぐらいの気持ちであります。希望といえば

-とにかく踊れるシステム(音質というよりもダンス・スペースを広く空けるために小型を希望、という意味)

-エルヴィスのキング・ヴォイスを楽しめるシステム

-欲をいえば、ペイスのシンコペ連発に軽く興奮できるシステム

-さらに欲をいえば、ジャコのジャコジャコなフレーズに軽く鳥肌を立てることができるシステム

ということぐらいです。


一方のStereo Soundはというと、スピーカー200万円、パワーアンプ200万円、プリアンプ150万円、CDプレイヤー150万円が読者の平均的な投資金額のようです。これで平均ですから、1200万円のスピーカーに600万円のモノラルパワーアンプ2発、電源からの電気をきれいにする機械(なんだこれは?)だけで100万円、などという合計3000万円オーバーの「推奨」システムがばんばん出てきます。


ということで、本来的に無趣味な僕とは無縁の世界ではあるのですが(ほら、だって小生の場合は生きていること自体が趣味みたいなもんだからさ。←ま、かっこつけていえばの話ですけど)、そこはそれ、僕はこういう風に常軌を逸している人の話を見たり聞いたりするのが大スキ(例:バランスを明らかに欠いている左翼とか右翼の論説を読む)でありまして、これ幸いと「ステレオサウンド・イノセン」という新しいジャンルを淀みなく構築するにいたりました。


さっそくアマゾンでバックナンバーをゲット。イイ話を探して読んでおりますと、出てくるわ出てくるわ、ナイスなエピソードとフレーズ、専門用語が所狭しと満載!


わりと笑ったのがこの話。アナログのレコードのプレイヤーなんですけど、これが「超弩級」(Stereo Soundに頻繁に登場するヘビロテフレーズのひとつ)でありまして、1700万円!ところがStereo Soundは「もうこうした製品が二度と出てこないかもしれないことを考えると、買いかもしれない・・・」なんていっているんですよ、マジで。「ひとつだけ難点を挙げるとすれば、自重が400キロもあるので、一度設置すると二度と動かせないこと」。これには笑いました。


ただ、僕はこのオーディオファイルの世界、イイね!と思います。メーカーも小売もユーザーも、とにかく純粋にスキでやっているという匂いが漂いまくっているんですね、これが。Stereo Soundにはメーカーの見学レポートもでているのですが、どの国でも本当にスキでスキでしかたがないという連中が、純粋にイイ音を求めて取り組みまくりやがっております。世界共通にイイ顔!のナイスな企業のオンパレード(しかももともと商売っ気がないのでバンバンつぶれている)でありまして、素敵な小世界であることだけは間違いありません。ある意味でイイ趣味です。クルマに1500万円使うよりもずっとイイような・・・。