ルドルフ・ヘスの書いた「アウシュビッツ強制収容所」(講談社学術文庫)を読んだ。今年になってダッハウ強制収容所を見学して以来、あらためてナチスドイツの第三帝国があのように動いたメカニズムについて感心をもっているので読んでみた。
第三帝国時代のユダヤ人の組織的な虐殺はその量と質においてとんでもないものなのだが、この本を読んでみると、アウシュビッツの所長であったヘスは、ごくごく小市民的・子役人的な発想と行動を一貫してとっていたということがよく分かる。つまり、それほどまでにこの虐殺が、組織的に行なわれていたということだ。
なぜそこまで組織的に整然とことが進んでいったのか、第三帝国の過ちの歴史から何かを学び取ろうとするとき、ここが最大のポイントであると思う。これに比べると、ポルポト時代のクメールルージュによる虐殺は、同じ国家的な虐殺ではあるものの、もう少し場当たり的にすすめられていった感がある。