銀行から「世界一シンプルな投資法」(題名を忘れましたが、だいたいこんなタイトルだった)とかいう本が送られてきたので、パラパラと読みました。


普段はこの種のことにまったく興味がないので、この手の本を読むこともないのですが、ざっと見でいうと、書いてあることはこういうことです。

-投資(による金融資産の運用)は大切なことである

-なぜかというと、それをしない場合に比べて、資産が増えるからである

-しかしそれには実にさまざまなリスクがともなう

-だから、欲をかいてはいけない。簡単に儲けようと思ってはいけない

-なによりもリスクを理解し、コントロールすることが大切である

ということでありまして、はたして禁欲的なのか強欲なのか、自家撞着的な話になっております。


僕の感覚というか好みでいうと、世の中には投資や運用、ようするに「不労所得」を得ることに興味がありすぎる人が多すぎるように思います。なぜ不労所得に重大な関心をもつのかというと、あまり仕事が好きではないということなのではないでしょうか。


上述の本を読んでみると、投資というのは非常に厄介な世界で、さまざまな問題を抱え、それを回避していかないといろいろとよろしくないことが起きる領域のようですが、それもこれも不労所得を得ようという意図をもつからでありまして、同じ金儲けであったとしても、普通に働いて収入を得るという道も当然のことながらあるわけです。不労所得と労働所得のどっちがイイかというと、少なくとも僕にとっては、労働所得の方があらゆる意味でイイわけですね、ええ。


なぜかというと、

-確実。仕事をすれば確実に何がしかの収入が発生する。

-インプット(労働努力投入)とアウトプット(収入)との間の因果関係を自分でコントロールできる。投資や運用となると、さまざまな条件は自分で選択できるけれども、それは誰かが設定したオプションなり条件の中から選ぶということであって、選択の幅が極めて狭い。基本的には運任せになってしまう。

-自分危害の誰かのためになっているという実感を得やすい。投資であっても超間接的には世のためになっているという理解の仕方もあるのですが、なにぶん実感がとんでもなく希薄なため、収入が発生しても、スカッとした貢献の快感を得られない。

そして、なによりも

仕事それ自体のプロセスが面白い。


ま、僕も若干の投資なり運用はしているので、イデオロギッシュに主張するわけではありませんが、不労所得に強い関心を示す人々というのは、ようするに、楽しい仕事をする、楽しく仕事をする、という人間にとってもっとも本質的なことのひとつを分かっていないフシがある。投資とか運用とかそういう金融そのものを仕事にしている人と、仕事をリタイアしたあとの資産保全、もしくは暇つぶしのゲームや趣味として投資をしている人々を別にして、投資による不労所得にギラギラした人々を基本的には信用しない。僕はそういう原則をもっております。この原則に裏切られたことはこれまでのところありません。