僕の職場の大先輩でSさんという人がいます。彼は僕の父に近い年齢ですが、相当にイイ感じのかっこいい人でひそかに尊敬しておりました。

ある朝、Sさんと一緒にやる仕事がありました。すると携帯に留守電が入ってまして「今日は体調がちょっと悪いので、悪いけど一人で行ってくれ」とのこと。インフルエンザかな?と軽く受け流して僕は仕事に行ったのでした。

後でわかったのですが、そのときSさんは心臓の血管が詰まってしまって緊急入院していたのでした。すでに3週間の間に2度手術を受けていまして、経過は順調、昨日は短時間ですが、一緒に仕事をすることができました。

もう少し遅れていたら最悪の事態になりかねなかったそうです。僕が話を聴いて思い出したのは、Sさんが入院する前に、最後にSさんと一緒だったときのこと。ある仕事のあとで、赤坂のビルの前でSさんと別れたのですが、そのときのSさんの顔が実にイイ顔だったんですね。なぜかこの顔が記憶に残っていました。

これが彼との最後の瞬間にならずに、本当にようございました。