リペア修行25日目はうだるような暑い日でした。
修業先のハセガワ管楽器工房(ハセカン)は、冷房も効いていて快適な環境でやらせて頂いているんですが、行き帰りの暑さでやられそうですね。苦笑
さて、前回のブログでも予告しましたとおり、今回から金管編となります!
本来であればサックスの次はフルートなのですが、自分が金管楽器中心の管楽器専門店を営んでいますので、早めに金管の修行をやらせて頂くことになりました。
(修業先の工房や自己紹介については、最初の方のブログに書いてありますのでそちらをご覧下さい。)
ということで、本命、本丸でもある「トランペット」から取りかかることになりました。
トランペットは自分が用意した楽器を使うことにしました。
この楽器は古いヤマハの入門モデルなのですが、すべての抜き差し管とバルブのボトムキャップが固着しています。
また、3番ピストンの動きも悪く、凹みも何カ所かあるというリペア修行的に良いコンディションです。笑
この楽器は再生するということは考えず、リペアで使い倒すつもりです。
今回リペアで使用する楽器
最初にボトムキャップの固着修正(固着解除、固着外し)から行い、これは比較的すぐに外すことができました。
次に抜き差し管の固着修正に移ります。
抜き差し管の場合は、まずはオイルを差し、それからバーナーで管を熱して外します。
1、3番管は比較的すぐに外れ、2番管は少しやっかいでしたが無事に外すことができました。
チューニングスライド以外の固着を無事外すことができました
問題はチューニングスライドです。
ここは明らかに固着がひどく、また管も力をかけすぎると変形しやすい部分です。
時間をかけて何度も試しますがまったくびくともしませんでした。
変形も覚悟でさらに強い力をかけてみましたが、それでも抜くことはできず管が変形してしまいました。
次にチューニングスライドのハンダを外して管を抜く方法をやりました。
この方法であれば管が腐食してボロボロになったりしていなければ大体抜くことができるということで、無事に抜くことができました。
チューニングスライドのハンダを外したところ。抜き差し管は固着したままですがこの後外れました。
スライドが変形してしまったので、これを直すか新しいスライドなどを使用することもできますが、今回は工房にあった中古のスライドをひとまず使ってみることにしました。
このスライドも少し変形していたのですが、使えそうだったので、元のスライドの抜き差し部分とハンダ付けして新しいスライドを作りました。
工房にあった別のチューニングスライドのハンダを外してこれで代用します
ハンダ付けは、最初の方でやったロウ付けや、サックスや自習でのハンダ付けで何度かやっていたので比較的スムーズにできました。
ただ、見た目がやっぱりまだ綺麗でないので、この辺は繰り返しやって慣れる必要がありますね。
抜き差し部分は元の楽器のものを活かしてハンダ付けし、新しいチューニングスライドができました
ラッカー仕上げの楽器にニッケルメッキのスライドになったので改造っぽいですね。笑
固着修正が一通り終わったので、各スライドの調整に移ります。
今回は3番管のみ修正が必要ということで、そちらの調整に移ることにしました。
3番管は演奏中にも操作するスライドで、動きが軽くないと演奏に支障が出ます。
今回の楽器は、スライドの上管と下管をそれぞれ単独で差すと動きがスムーズなのですが、両方同時に差すと動きが固くなっていました。
ノギスを使って管の開きを測定すると、僅かにスライドの開きに歪みがあることが分かりました。
これを少しずつ修正していくとだんだんと動きが良くなってきました。
ノギスを使用して管の開き状況などを確認します
自分ではこれくらいでも大丈夫かなと思うところまでやったのですが、師匠が調整をするとまだ良くなります。
楽器を傾けると自然とスライドが落ちるくらいまでできるはず、ということでさらに自分で調整すると、ようやくそこまでたどり着くことができました。
そういう状態まで調整出来ると気持ちいいよ、と事前に言われていたんですが、まさしくそんな感じでしたね。
正解にたどり着いた、という感じです。
最後にウォーターキーのコルクを交換してこの日は終了となりました。
(ウォーターキーのネジも固着していて、ここもちょっと師匠の手を借りたりしましたが・・・)
トランペットに関しては自分もそれなりに知識があるので、やっぱり木管と比べるとサクサク進む感じがします。笑
凹み直しなどはある程度時間がかかるかなという気もしますが、なるべくいろんなことを修行でも試していきたいですね。
この日の成果?変更したチューニングスライドが目立っていい感じです。笑