12月のはじめだった。
ふとしたきっかけで
私は彼にあの子の存在を自分が承知していること
スカイプの会話を見てただの友逹じゃないことを知っていること
を話した。
「あの子は本当はあなたにとってなんなの?」
「本当は好きなんじゃないの…」
言いながら我慢できず涙が流れる。
彼は困ったように私を見て
最初はずっと無言だった。
もう嘘はいらない
どんな事実でも本当のことだけ聞かせてほしい
そう言った私に
ようやく重い口を開いてくれた。
「…人形だよ」
あの子はあなたにとってなに?
もう1度聞いた時の答えがこれだった。
私「人形…?どうゆう意味?」
彼「そのままの意味」
私「かわいいってこと?」
彼「違う。寂しい時とかいたほうがいいけど、普段はいなくても構わない、人形。」
私「…好きなんじゃないの?」
彼「何度も言っただろ?好きでもないし彼女でもないって。
あいつを好きだと思ったことは今まで1度たりともない」
彼の話はこうだった。
あの子と彼は、私と彼が出会うずっと以前からゲーム友逹で
ギルドを移動してもずっと同じギルドにいて、ずっと一緒に遊んできた。
いつの間にか好きとか大好きとか言うようになっていったけど
彼自身は本当に好きだと思ったことは1度もない。
ゲーム仲間としていつも遊んでいたから
いないと寂しくはあるし嫌いではないけど
恋愛対象としては考えられない。
向こうの気持ちが本気なのかは知らないが
相手の女の子は他にもイチャイチャしてる男がいっぱいいると思う。
だからそんなに本気だとは思えない。
マメにメールしてたのは
あの子が放っておくとめんどくさい子だから
「ちゃんと仲良くしろ」と今のギルドのメンバーに釘をさされていたから。
それとあの子のメールは短いから。(私はメールがそこそこ長かった)
私にはよく理解できない話だった。
好きでもないのにあんなに好きって言うの?
と聞くと彼は言った。
「言葉でなんてなんとでも言えるだろ」
私とあの子とどこが違うの?
私にも口だけなんじゃないの?
「どこが違うって…全てにおいて違うし、逆に一緒のとこなんかない。
あいつはコミュ障だよ。
それに束縛半端無いし、恋愛として付き合うとか絶対無理。
それに…」
彼は続けて話したのは
その子の驚くべき性質だった。
その子は
ずっとネットで知り合ったいろんな男の家を転々としているらしかった。
もちろん同棲してる間は付き合っているんだろうけど
一緒に暮らしてても自分は一切働かないでゲームばかりしていて
しかもネット上でいろんな男とイチャつくから
いずれ家を追い出される。
そして新しい男の家に暮らす、の繰り返しらしい。
家を追い出されると
「帰るところもお金もない」
と仲良くしていた男に泣きつき
お金を振り込んでもらって
そのままフェードアウトしたりもしていたらしかった。
「だからあいつキャラすぐ作り直すんだよ。
俺にはそうゆうこと言わなかったけど。
そんなやつのこと好きになると思う?」
彼はそう続けた。
私と私の地元に帰ってきた日
彼がその子に電話したのは
その子のそうゆう行動がいろんな人にバレて
その子が落ち込んでいた時期だったからだと言った。
私は…
自分がずっと色々我慢してきたことを彼に話した。
彼はごめんねと何度も謝った。
「最近実は俺が彼女と暮らしてるってあいつが誰かに聞いたみたいで。
【女と住んでるなんて気持ち悪い】とか言ってきたよ。
けど俺見ててわかるだろうけど
もうずっとほとんどメール返してなかったし
あいつが家追い出されてあいつゲームとかできなくなったじゃん?
やっと離れられるかなって。」
「今まではあいつと俺同じギルドだったから
俺ギルドのやつに言われてたんだよ。
俺があいつを放っておくとあいつが他の何も知らないメンバーにひっついたり
メンヘラっぽい発言しまくったりして
ギルドの雰囲気崩すから
ちゃんとあいつと仲良くしろ、じゃないと他が迷惑だからって。
だから切るに切れなかった」
「辛い思いさせてごめん。
でもかなことあいつが同じってことないから。
家が目当てとかも絶対ないから。
それだけでこんなとこまで来ないから・・・」
わからなかったことが1つずつわかっていく。
でも彼のこの話を聞いても
不安は残る。
ゲームしている以上また同じことが起きるかもしれない。
完全に信用はできないかもしれない
私はずっとこのことを覚えていて
事あるごとに言ってしまうかもしれない
その度にきっと嫌な想いをさせる
それでも耐えれる?
私の言葉に彼は言った。
「それでも離れたくない。
本当ごめん」
一緒に歩いて行くのが平坦じゃないのは承知だけど
私も頑張ってみようと思った。