OS3..0ではだめみたいです。
けっこう期待していたみなさんが多いのではないでしょうか。
Bluetoothという通信規格のことは以前にも書きましたが、搭載されていてもすべての製品が使えるわけではなく、どうも使い勝手が悪い。
どうしてユーザー不在の規格ばかりができるのでしょう。
iPhoneにもBluetoothは搭載されていますが、HIDという入力デバイスに対応した規格を載せてないので外付けキーボードは使えません。
これが技術的な問題なら次のヴァージョンで(だから3.0に期待していた)という観測も現実味がありますが、ジョブズ氏の美学の問題ですから望みはないでしょう。
彼の思想はいつもこうです。「自分が提供するものが一番美しいのだから万人が受け入れるべきだ。足りないものも余分なものも一切ない。」
ジョブズ氏はリアルなキーボードはお嫌いなのだそうです。少なくともiPhoneには似つかわしくないというわけです。
それは他のいわゆるスマートフォンの無様な姿と一線を画したいということだと思われます。
確かにあのせせこましいボタンが並んだ様は美しくありません。
でも本体に実装するのでなく、欲しい人だけが外部にキーボードを持つことまで制限するのはいかにもジョブズ氏らしいやり方です。
サードパーティーはいつも情報を開示しないAppleとの戦いを余儀なくされてきました。
本体を分解し、ROMを解析して、基板上のどこにどんな信号が来ているのか解析しては画期的なハードウェア、ソフトウェアを作ってきました。
ですから今回も果敢にチャレンジするエンジニアが出てこないとも限りませんし、すでに着手しているかもしれません。
ですが、かつてと比べてIT関連のマーケットは拡大したものの製品サイクルはどんどん短くなり、ユーザーの層が広がるに従って客単価は逓減傾向にあります。
製品を速く、しかもより安価で市場に出さなければならない、つまり開発コストの回収に伴うリスクがそれだけ大きくなっているのです。
さもないと、時代遅れの陳腐化したガラクタの山を抱え込むことになりますから。
機器は高度化し、技術的ハードルは高くなっているのに開発期間は短縮、コストも圧縮しなければならないのですからチャレンジャーには受難です。
Appleの製品が他に類を見ない輝きを放っているのはひとえにジョブズ氏の才能によることは誰も否定しないでしょう。
ですが、今回のBluetoothとKeyboardの一件のようなことに遭遇すると、ジョブズ氏がエンジニアでもビジネスマンでもなくてアーティストであることを恨めしく思わないわけにはいきません。
芸術家はある意味頑迷です。
金でも理屈でも動かない。
彼を動かすのは感性のみであるからです。