タミフル | 物質の下僕

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語りえぬものには、沈黙しなければならない












let me have my enemies butchered

そもそも医者に掛からない私はタミフルが効こうが効くまいが関係ないのだが、

罹患してから24時間以内の投与でないと効果がないというので、当初からバカにしていた。

「相当悪くならなきゃ病院になんて行かねぇよ。だいたい24時間以内に素人がどうやってインフルエンザだって判断できるんだよ。2~3日様子を見て、こりゃただの風邪じゃねぇぞってなことでのこのこ病院にやって来た時にはハイもう手遅れですタミフルは効きませんって、バカ言ってんじゃねぇよ!」

だが24時間以内に投与されればかなり効くらしい、と最近知ってその作用機序が気になりだした。

調べてみると、タミフルはインフルエンザウィルスを「殺す」のとはちょっと違うようだ。

ウィルス全般は宿主の細胞に取りついてその機能を利用しないと増殖できない。

インフルエンザウィルスもこの点は例外ではなく、まず細胞に取りついて増殖に必要なものを手に入れると遊離して増殖を始める。

タミフルはこの細胞からの遊離を阻害するのだそうだ。

つまり体内に侵入した最初のウィルスが増殖拡散することを防ぐのがタミフルで、増殖できなければあとは患者本人の持つ免疫力によって排除されることになる。

だから24~48時間以降、ウィルスが数を増してしまってからでは、直接ウィルスを破壊できないタミフルには効果が期待できないということなのである。

なるほど、なるほど。

で、皆さん私と違ってすぐに病院に行くんですねぇ(笑)。だからタミフルも出番がある。

ただし、気をつけなきゃいけないのは自覚的な症状がおさまるのと、実際に体内のウィルスがいなくなるのとは同時期ではないということ。

熱が下がったりして症状が軽くなったってんで、よかった治ったとばかりにタミフル飲むのを止めると残っていたウィルスがまた細胞にとりついて増殖を始める。

さらに言えばそんなことを繰り返すとタミフルに耐性を持ったウィルスばかり残ってどうにもならなくなる。

だから「熱が下がったら大丈夫だ」、なんて言う医者がいたらそいつはヤブだと思ったほうがいい。

熱が下がったり、その他の症状がなくなった時点では我々の免疫機構が劣勢を挽回したということで、敵を殲滅するにはなおしばらくかかるのである。

免疫機構も含めて体全体が疲弊しているその時期に、さあ仕事だなんて無理をすればスターリングラードのドイツ軍みたいになってしまう。

体力を罹患前のレベルに戻すべく、良いもの食べて、よく寝ること。

くれぐれも耐性菌をばら撒きに外へ出てこないでくれ。

そんなことをされたらタミフルも立つ瀬がない。