いわゆる右よりの人たちは本気で太平洋戦争を正しい戦争だと思っているのだろうか。
本当にアジアの諸地域でいいことしかしなかったと思っているのだろうか。
現在を支配する者は過去を支配する。過去を支配する者は未来を支配する。
歴史とは常に改竄可能なものであるという認識をもつのが正しいと思う。
先にあげた右の人たちの親は何を見てきて、何を子供に伝えたのだろうか。
私の親は戦争を体験している。 そこに至る日本の雰囲気を体感している。
理不尽で権力を乱用する憲兵の話。 いばりくさって、そのくせ戦後はこそこそしていた軍人の話。
醜い日本人の話は枚挙にいとまがないくらい聞かされた。
軍隊に行って、その悲惨な状況、いじめの存在を話してきかせてくれた親戚もいる。
私はいわゆる自虐的歴史教育を受けた世代である。だが、それとは関係なくこれらの話と、歴史的知識を総合すると、日本の起こした戦争がちょっとも正当ではないと結論を出さざるを得ない。もちろん、相手国のアメリカも全然正当性はない。原爆投下について、無差別爆撃について、猛烈に抗議すべきである。
だがそれ以上に、日本が戦争を遂行した動機はたてまえこそ立派なものの、その実本音はきわめて恥ずべきものであったことを認識すべきである。
その点での反省がなかったから、全共闘などの学生運動は、反権力を標榜しながら、結局権力奪取を目的とする、権力闘争に堕していくのである。
先の戦争に否定的な意見を表明すると、すぐに自虐的史観を云々するのは人間の知性に対する侮辱以外のなにものでもない。少なくとも私の知性に対して侮辱的である。客観的に事実を積み上げて思考すれば、おのずと正しい結論がでる。今も昔も大多数の衆愚にその能力がなかったから、あのような悲慘な戦争を起こし、敗北したのである。
私が右の人たちと接する度に感じる不快感は、過去の日本人の中にある下品さに目をつぶり、自分たちにも受け継がれたその下品さを認めようとしない不遜な態度に起因する。
私が大衆なるものに対して抱く憎悪は結局、おのれの下品さを認めようとしないその欺瞞ゆえである。