全米オープンの決勝やNFLの開幕で、

スポーツ界では忙しい週末でしたが、

さりげなくバスケットボールの殿堂入りの式典がありました。


今年入ったのは4人の監督と、1人の選手。

その中には前グリズリーズ監督、ヒュービー・ブラウンも。


Hubie

(写真は全部クリックで拡大出来ます)


82試合のシーズンで23勝がベストと言う、

記録的な弱さだったグリズリーズが、

プレーオフチームに育ったのはほとんどが彼の功績。

ファンとしてはいくら感謝してもしきれない人です。

(ヒュービーを監督にしたジェリー・ウェストもですが)


75年にケンタッキー・コロネルズで監督としてABA優勝。

(カーネルズと書いた方が分かりやすいかも)

その後、ホークス、ニックス、グリズリーズの監督を歴任して、

3チームともプレーオフに導きました。


NBAでの勝敗成績は5割を切っていますし、

プレーオフでの実績も大した事は無いですが、

バスケの教師としては飛びぬけていました。


中学、高校などの指導者のための勉強会を開いたりした、

バスケと言うスポーツの伝道者としての功績、

そして、テレビでの解説者としての活躍が

この殿堂入りで認められました。


解説者としてはまだ現役のヒュービーに、

これからも勉強させてもらおうと思います。



他の3人の監督は、

いずれも大学バスケで通算700勝を達成した名監督。


まずは2004年に男子バスケで全米優勝した、

コネチカット大のジム・カルフーン監督。


Calhoun


きついボストン訛りのカルフーンは、

ボストン市内の弱小校、ノースイースタン大で、

5回もNCAAトーナメントに出場。


86年にコネチカット大の監督に就任してからは、

バスケの伝統の浅い学校を、強豪校に仕立て上げました。


2004年の優勝メンバーには、エメカ・オカフォーとベン・ゴードン。

1999年に優勝した時にはリップ・ハミルトン等がいました。

その他にも、レイ・アレン、クリフォード・ロビンソンと、

NBAの名選手を育てています。


カルフーンの通算勝利数は703。

1年に30試合強しかプレーしないので、

長い間、好成績を維持しなければ届かない数字です。



同じ年に殿堂入りしたシラキュース大のジム・ベーハイム監督も、

カルフーンと並ぶ703勝をしています。


Boeheim


写真の選手は、もちろん現ナゲッツのカーメロ・アンソニー。

1年生アンソニーや、今年グリズリーズにドラフトされた

当時2年生のハキーム・ウォリックなどの活躍で、

ベーハイムは2003年の全米優勝を手にしました。


ニューヨークのシラキュース大で監督を続ける事29年。

そのうち27シーズンで20勝以上と、安定した成績を残しています。


トリッキーなゾーンディフェンスを効果的に使う知将で、

デリック・コールマンや、ロン・サイカリー等の選手を

NBAに送り出しました。



4人目の監督は、女子大学バスケのパイオニアとして、

40年の監督生活を続けたスー・グンター。

勝利数では708と、カルフーンとベーハイムに勝ります。


Gunter


去年、健康上の理由から引退を表明。

殿堂入りの決まった後の先月、

残念ながらこの世を去ってしまいました。


全米優勝は経験しなかったグンターですが、

1980年にはオリンピックの女子チーム監督。

40年間で影響を与えた監督・選手は数え切れないほどです。



今年、たった1人、選手として殿堂入りしたのは、

女子バスケの伝説的な名ガード、

ブラジルの「女王」、オルテンシア・マルカーリでした。


Hortencia


30年前、15歳の若さで代表に選ばれたオルテンシアは、

20年以上のキャリアで数々の国際大会に出場し、活躍しました。


おそらく最大の功績は、94年の世界選手権優勝です。

世界トップクラスの相手に、試合平均27.6点と言う記録。


オリンピックでは、バルセロナ大会では7位に甘んじましたが、

96年のアトランタでは銀メダルを取りました。

南米選手権でもブラジルを4回の優勝に導き、

女子バスケ史上最高の選手、と言う意見にも納得です。



NBAだけのファン、と言う方には、

ヒュービー・ブラウン以外はあまりなじみが無いと思いますが、

バスケの裾野の広さを思わせる5人だと思います。


バスケットボール発祥のマサチューセッツ州スプリングフィールドで

日本人が殿堂入りする日も来るかもしれませんね。


(写真はBasketball Hall of Fameより)