今年の全米オープンのシングルス決勝は、
ある意味、男女の間でシンメトリーがありました。
ロジャー・フェデラーとクライステルスは、
ライバル達にも憎まれる事の無いスポーツマンシップの鑑。
今後もメジャータイトルに絡むはずの若い選手です。
その相手のアンドレ・アガシとピエルスは、
すでに30代に入り、もうすぐ引退すると思われる2人。
女子決勝は、クライステルスの圧勝で終わりましたが、
男子決勝は、フェデラーの圧勝ではなく、
一時はどちらに転んでもおかしくない試合でした。
キーだったのはフェデラーのバックハンド。
2年前、ウィンブルドンで優勝した頃は弱点だったショットです。
その後、相手にそのバックハンドを狙い打ちされた事から、
特訓でトップクラスと言えるほどの武器としていたはずでした。
しかし、準決勝のヒューイット戦では、
バックハンドのミスが多かったためにセットを落とし、
決勝でもバックハンドは不安定なまま。
アガシは最初からバックハンドを狙い、
フェデラーのミスを誘っていました。
アガシ自身も、「史上最高のリターナー」の本領を発揮。
フェデラーのファーストサーブが
ほとんど入っていたのにも関わらず、
攻撃的なリターンで主導権を握る事が度々ありました。
第1セットはフェデラーが6-3で取りましたが、
この2つの要素と、ファンのアガシへの応援が合わさって、
アガシは2回のブレークで第2セットを取り、
第3セットでも互角の勝負をしました。
そして第3セットはタイブレークに...
ここからはフェデラーの独壇場でした。
タイブレークのスコアは7-1。
第4セットでも、アガシはなんとか第6ゲームを取って6-1。
世界一のフェデラーが最後には優勝した大会でしたが、
ストーリーとして魅力があったのは、
35歳のアガシの、5セット試合で3連勝しての決勝進出劇と、
去年首を折ったジェームズ・ブレイクの復活でした。
アメリカ期待のロディックは1回戦で敗退したものの、
ブレイク、ジネプリ、デント、ジェンキンスと、
その他のアメリカ勢が輝いた大会でした。
ガスケ、ジョコビッチ、マレーなどの若手も目立ち、
テニスの将来は明るいと思わせられました。
フェデラーは、バックハンドをさらに改良してくるでしょうし、
彼を追う選手たちは、攻略法を考えなければなりません。
11月のマスターズカップ、そして来年に向けて、
テニスに注目を続けたいと思います。
最後に、9月11日は4年前あの事件があった日です。
この試合の前には、ハリケーンの被害者と、
4年前の犠牲者のために黙祷が捧げられました。
あまりアメリカ人の反応が無い、
と言うような事を他のブログで見かけたのですが、
11日に入ったらそれなりにニュースなどで取り上げられました。
何日も前からこれが始まらなかったのは、
ハリケーンの救援作業が続いている事を考えると、
仕方ないような気もします。
もちろん、忘れていい事にはなりませんし、
アメリカ人にとっては忘れられる事でもありません。
そして、9月11日と関係が無いのに、
でっち上げた理由で始められたイラクの戦争も、
しっかり終局に向かわせなければなりません。