Rice


サンフランシスコ49ersで3回の優勝に貢献したレシーバー、

ジェリー・ライスが20年のNFL生活にピリオドを打ちました。


キャッチ数、パスレシーブでの獲得ヤード、TDキャッチ、

いずれを取っても2位とはかけ離れた通算記録を持ち、

NFL史上最高のレシーバーと言うのは疑いもありません。

(この場合、実際の数字 を書くのも野暮です)


NFL史上最高の選手、と言っても違和感は全く無いです。



ライスはミシシッピバレー州立大出身。

大学フットボールの1部にもいない無名チームですが、

そこでの活躍で全米ベストチームに選出されました。


それでも、1985年のNFLドラフトでは、

16番目の指名権を持っていた49ersまで、

ライスを取ろうとするチームがありませんでした。

その理由は40ヤードダッシュの時間が遅かった事。


結果から言えば、スプリントのスピードだけでは

レシーバーとしての能力は測れないということを

ジェリー・ライスが証明しました。


必ずしも直線のスピードでは飛びぬけていなかったライスが

常にフリーになれた理由は、走るルートの正確さでした。

しっかりとフェイクをかけ、鋭角的にターンをしてフリーになり、

QBが期待しているタイミングで、期待している位置に走っていました。


ボールが彼の手の届く範囲に投げられれば、

ほとんど落とす事の無い動体視力とタッチがありましたし、

ボールを取ったあともタックルをかわして走る

パワーと敏捷性もありました。


いずれも、彼の生まれながらの能力を、

激しい練習で最大限にまで伸ばした結果でした。



引退した理由は、

このオフに契約したデンバー・ブロンコズでのポジション争いに負け、

3番手ではなく4番目のレシーバーになったこと。

試合出場も毎試合は保証されなくなったからです。


42歳までやっていたのは、

もちろん記録のためではなく、優勝するためでもありませんでした。

どこかのチームで少しでも貢献できるうちは、

プレーを続けたかった、と言う事だと思います。


優勝を手にした直後、衰えを見せる前に引退する選手もあれば、

最後まで全力を尽くし、プレーできなくなるまで引退する、

ライスのような選手もいます。


どちらにしろ、class、dignity、styleの揃った選手なら、

見事なキャリアを祝福してあげるべき時でしょう。


(写真はサンフランシスコ・クロニクルより)