先週末は野球の殿堂入りセレモニーがありましたが、

今週末はPro Football Hall of Fame、

プロのアメフトの殿堂で同じような式典がありました。

今年殿堂入りするのは、記憶に新しい伝説の選手2人と、

今は知る人も少ないアメフト黎明期のパイオニア2人です。


自分も良く知っている2人は、ダン・マリーノとスティーブ・ヤング。

殿堂とは言っても、この2人程の選手が揃って入るのは

今後もなかなか無いでしょう。



マイアミ・ドルフィンズのマリーノは、

パスの試投回数、成功回数、獲得ヤード数、タッチダウン数で、

NFLの通算記録を保持しているように、

パスを投げさせれば右に出るものはいない選手でした。


Marino


プロ2年目の84年のシーズンには、

パスで5084ヤードと48個のタッチダウンを記録してリーグMVPに。

タッチダウン記録の方は、昨シーズン、マニングが破りましたが、

当時はどちらもNFLの新記録でした。


彼のキャリアに欠けているのは、スーパーボウル優勝のリング。


スーパーボウルに出たのも、記録を作った84年のシーズンだけ。

この年、ドルフィンズはレギュラーシーズンで14勝2敗、

スーパーボウルまで勝ち進みますが、

ジョー・モンタナの49ersに大敗を喫しました。


パスだけに頼りすぎたために、

プレーオフでは勝ち進めなかったのでしょう。



49ersでジョー・モンタナの後継者になったスティーブ・ヤングは、

マリーノとは全く違うタイプのQB。


Young


49ersの監督、ビル・ウォルシュが考案した

ウェストコーストオフェンスの基本はショートパスでのボール保持。


このシステム内でプレーしたヤングは、

ロングパスも多かったマリーノと違い、

短いパスを確実に通す事が要求され、それを見事に達成していました。


選手としてマリーノともう1つ違ったのは、

相手をかわして走る能力があったことです。


94年に、ヤングは35個のタッチダウンパスを投げましたが、

自分で走りこんで取ったタッチダウンも7つ。

ランでの通算43個のタッチダウンは、QBの記録です。


49ersの優勝したスーパーボウルXXIII(89年のシーズン)では

モンタナの控えでしたが、その5年後、

サンディエゴ・チャージャーズに勝ったスーパーボウルXXVIIIで

6個のタッチダウンパスを投げ、試合のMVPになりました。


左投げのQBで初めての殿堂入りになります。



では、時代の古い方の2人は...

まずランニングバックのフリッツ・ポラードから。


Pollard


学問で有名なアイヴィーリーグがまだアメフトで強かった時代、

ポラードはアイヴィーのブラウン大学で活躍した後、

1919年にプロチーム、アクロン・プロズに入団しました。

(そのままな名前ですね)


入団の翌年、NFLの前身である、

American Professional Football Associationが結成され、

アクロン・プロズもこれに加盟しました。

リーグ結成当初、ポラードはたった2人の黒人選手の1人でした。


ポラードの活躍もあり、

最初のシーズン、プロズは8勝3分で無敗優勝。


そのさらに翌年、21年にはプロズの選手兼監督になり、

リーグ初の黒人監督が誕生しました。

この辺りは、いかにも新興スポーツらしい

おおらかさが感じられますね。


当然、差別はあったでしょう。

しかし、戦後まで白人のメジャーリーグと

黒人のニグロリーグを分けていた野球とは、

かなり違う雰囲気だったのでは無いでしょうか。


引退後の28年、黒人選手のみのプロチーム、

シカゴ・ブラックホークスを結成し、自ら監督に。


よく調べていない事から単純な結論を導きたくないですが、

このチームが作られたのも、

人種差別が一般的な風潮があってのことかもしれません。



今年殿堂入りするもう1人の選手は、

マリーノなどのパサーに道を開いたベニー・フリードマン。


Friedman


ミシガン大のクォーターバックとして名をあげ、

27年にNFL入りした後もラン、キック、パスが出来る万能選手でした。


特にパスの上手さは群を抜いていて、

28年の20個のタッチダウンパスは

リーグ最高記録として長い間残りました。


ルール上も、

アメフトがラグビーからそれほどかけ離れていなかった頃で、

精度の高いパスを投げられるQBも少なかったようです。

そんな中、難なくパスを通して見せるフリードマンは

絶大な人気を誇っていたとか。


現役のベストパサー、ペイトン・マニングが尊敬する

5、60年代のジョニー・ユナイタスも、

パスプレーに革命を起こしたクォーターバックですが、

フリードマン無くしては、そのユナイタスも無かったでしょう。


今のアメフトを形作るのに貢献し、

正に殿堂入りにふさわしい選手だと思います。


(写真はPro Football Hall of Fameより)