ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ クロ・ド・ヴージョ 1999
購入日 2004年12月
開栓日 2005年12月15日
購入先 かわばた
インポーター 日合商事
購入価格 7980円
最近このドメーヌへの評価に疑問符を付けつつあるのだが、それを検証するために開栓。
この1本は、自宅に到着後1年間、14℃のセラー(地下室ではなく冷蔵庫)に保管してあった。
テロワールの違い、ヴィンテージの違いより個体差に神経が行くことが多いのだが、
このワインはどうだろうか。
1999だが、開栓時期は決して早すぎない印象である。
芳香はあるが、陶酔させられるほどのものではない。
細身の美女が絹の薄衣をまとって、軽やかに舞う。
開栓後5時間ほどすると、芯に僅かの甘い核のような感触を感じ、
それを追いかけるかのように杯を重ねてしまう。
気が付いたら7時間で1本空になっていた。
う~ん、悩ましい。
飲みきったあとの幸福感はある。
しかし、明日まで持ち越してもこれ以上変化することは期待できそうにない。
こういうワインを評価する向きもあるだろうが、現在のわたしからすれば、
痩せすぎのグラン・クルとしか言いようがない。
気品という点では超1流で、この品のある味わいが特級以外から得られるか、
と言われればそれは否だ。
だが、コクとか腰のある重さという点では、2000円もしない先日のグロ・フレール・エ・スールの
オート・コート・ド・ニュイ 2001にも遠く及ばない。
このドメーヌの持つクロ・ド・ヴージョの畑は、高いところの最上の位置にあるという。
ならばジュブレ村のワインとこの1本とはどう違うのか、まるで不明確である。
こういうワインを飲むと、テロワールより造り手の個性が表に出ていると言わざるを得ない。
ネガティヴに言えば、テロワールの個性はどこかに行ってしまっている。
セレナ・サトクリフは、その著書ブルゴーニュ・ワインの中で、このドメーヌのワインを
「グラン・クルのワインはただ小綺麗であればよいというものでないはずだが」
と述べている。
陳腐な追随であるが、その通りだと思う。
このドメーヌはすごい金持ちで、96年にはユドロからミュジニーの畑0.13haを買い取り、
今はザムルースの取得を狙っているという。
グラン・クルでこの価格は確かに安い。
しかし最上のクロ・ド・ヴージョを求めるブルゴーニュ・ファンとは、
コストパフォーマンスなどまるで気にしない人たちである。
言いたいことを言わせてもらうなら、クロ・ド・ヴージョの最上の畑から
この程度のワインしか造れないなら、誰か才能のある造り手に任せるか、
畑を売っぱらってもらった方が、ブルゴーニュ・ファンは喜ぶだろう。
それでなくても、ルーミエなど限られた数人のスターの造るワインが、
世界中の飲み手の奪い合いになっているのだから。