【親は少しバカなほうがいい】


20代のころ、学生時代の友人に会うのが本当に嫌だった。


なるべく会わないようにしていた。


『いま仕事なにしてんの?』


これを聞かれるのが本当に嫌だった。


仕方なく答えると、

『え?もう〇〇やめたの?で、今度はそれ?』

冷やかしとも苦笑とも言える顔をする。


仕方ない。


早いと午前中で逃げ出した職場もある(苦笑)

今なら自虐ネタにして笑いを取れるのですが、当時は本当に嫌だった。


仕事が続かない男なんて価値がない。


自分からどんどん孤立していった。


どうしても死にたいくらいに、仕事が飽きてしまう。


どうしてもつまらない。

ある日、近所の郵便局に行きました。


『中和田さん…って、中和田〇〇さんの息子さんかい?』


『………はい』


田舎ってこういう時が嫌。


次に出てくる言葉に身構えた。


さっさと用事を済ませて帰りたい。

『お母さん、キミのことよく話しているよ。


私は頭悪いから看護師しかできないけど、うちの息子は頭が良いから、次から次へと新しいことにチャレンジしていて凄いって。


本当に私が産んだのかって不思議になるよって』


局長さんは笑って話した。


ビックリした。

20代、仕事も含めて何も続かない自分が嫌で嫌で仕方なかった。


人に見られるのが嫌で、目を見て話すこともできなかった。


家でも家族とはほとんど話さず、部屋にこもっているか、外に出ていた。


母がそんなふうに思っていたなんて知らなかった。


母さん。


世間的には、看護師一筋で生きている人のほうが評価されるんだよ。

あのことを聞けたのは、大きな転機になりました。


わざわざ言ってくれた郵便局長さんにも感謝です。


『生きている価値』をまったく感じられなかった20代、褒めてくれる人がいる。


それがどれだけ、その後のチカラになったことか。

親という立場のかたへ。


世間的には自慢できないお子さんかもしれない。


だとしても、何か1つでも良いところ見つけて褒め続けること。


社会では何一つ褒められるようなことができないお子さんなら、なおさらです。


今が大変でも、お子さんが40歳50歳になったとき、

『あのとき全面的に味方になってくれた』と。


いつかきっと大きなチカラになります。