【親は少しバカなほうがいい】
20代のころ、学生時代の友人に会うのが本当に嫌だった。
なるべく会わないようにしていた。
『いま仕事なにしてんの?』
これを聞かれるのが本当に嫌だった。
仕方なく答えると、
『え?もう〇〇やめたの?で、今度はそれ?』
冷やかしとも苦笑とも言える顔をする。
仕方ない。
早いと午前中で逃げ出した職場もある(苦笑)
・
・
・
今なら自虐ネタにして笑いを取れるのですが、当時は本当に嫌だった。
仕事が続かない男なんて価値がない。
自分からどんどん孤立していった。
どうしても死にたいくらいに、仕事が飽きてしまう。
どうしてもつまらない。
・
・
・
ある日、近所の郵便局に行きました。
『中和田さん…って、中和田〇〇さんの息子さんかい?』
『………はい』
田舎ってこういう時が嫌。
次に出てくる言葉に身構えた。
さっさと用事を済ませて帰りたい。
・
・
・
『お母さん、キミのことよく話しているよ。
私は頭悪いから看護師しかできないけど、うちの息子は頭が良いから、次から次へと新しいことにチャレンジしていて凄いって。
本当に私が産んだのかって不思議になるよって』
局長さんは笑って話した。
ビックリした。
・
・
・
20代、仕事も含めて何も続かない自分が嫌で嫌で仕方なかった。
人に見られるのが嫌で、目を見て話すこともできなかった。
家でも家族とはほとんど話さず、部屋にこもっているか、外に出ていた。
母がそんなふうに思っていたなんて知らなかった。
母さん。
世間的には、看護師一筋で生きている人のほうが評価されるんだよ。
・
・
・
あのことを聞けたのは、大きな転機になりました。
わざわざ言ってくれた郵便局長さんにも感謝です。
『生きている価値』をまったく感じられなかった20代、褒めてくれる人がいる。
それがどれだけ、その後のチカラになったことか。
・
・
・
親という立場のかたへ。
世間的には自慢できないお子さんかもしれない。
だとしても、何か1つでも良いところ見つけて褒め続けること。
社会では何一つ褒められるようなことができないお子さんなら、なおさらです。
今が大変でも、お子さんが40歳50歳になったとき、
『あのとき全面的に味方になってくれた』と。
いつかきっと大きなチカラになります。