歩いて5分程度の場所に、僕の実家があります
父が他界してから何かと顔を出しています
今日も用事があり顔を出しました
家の前に福島県ナンバーの軽自動車が止まっている
70代であろう男性が車から出てきました
父が生まれ育った福島県相馬市の方で、すぐ近所に住んでいた父の幼馴染みでした
葬儀の時、父の知り合いで知らせたのは親族と地域の方だけ
同窓生やら、会社の人たちには知らせる余裕がありませんでした
男性は深々と頭を下げました
「正一さんに良く似ていらっしゃる」
頭髪か?とツッコむ空気でもないので、そのまま話しを聞きました
「わたしは正一さんの5歳下で、本当に面倒を良く見てもらいました。
正義感の強い人で、いじめられていると必ず助けに来てくれた。
戦時中で食べ物がない時には、食べ物を分けてくれた。
あなたの目はお父さんソックリです」
グッと胸が詰まった
そんなに正義感は強くありません
男性は福島県相馬市から軽自動車で1人来てくれました
震災で大変だったであろう相馬市から…
実家の前で、いったい何時間待っていたのでしょう
母も不在で、うちの連絡先も分からないまま来てくれました
僕は仕事があり、いつまでもは時間が取れない
わざわざ福島から来て下さったのに、大した時間も取れないまま帰す事に
「ありがとうございます。良かったです。お父様に会えて良かった」
ほんの20分程度の滞在で帰す事になった
男性は何度も頭を下げて去って行きました
60年以上経った今でも、昨日の事のように男性は父への想いを口にしてくれました
あらためて父への尊敬の念と、遺伝子を引き継いでいる責任を感じました
僕は父とは違う人間ではありますが、あまりの格の違いに情けない想いを感じます
父とは違う道を歩むでしょうし、やり方も全然違いますが、このステージ(人生)を終えるまでには、もう少し近づきたい気持ちです
父からの叱咤を感じた日でした