10年出張業務でお世話になっているKさん宅からの帰り
夜11時
雨の中車を走らせた
自宅近くに流れる小野川を渡ったあたり
道路に黒い塊がモゴモゴ動いている
車を止め雨で見にくい中、目をこらした
亀だ
20cm弱の大きな亀
小野川に生息している亀が道路に出てきてしまったのだ
このままじゃあ車にひかれる
外は強い雨で、わざわざ救助するほど善人でもない
しかしどうもほっとけない
渡りきるまで見守ろう
と思ったら前方から車が
どうやら善人のようだ
車を飛び出し、手で前方の車を静止して亀の元に行った
あっ…
既にひかれていたのだ
甲羅が割れていて内蔵が飛び出していた
内蔵を引きずりながら反対岸に必死ではいでいる
この亀、長くはないだろう
前方に車を静止させたまま考えてしまった
このまま一気にひかれた方が苦しくないんじゃあないか
いやせめてカラスの食事となり、カラスの一部として生きた方がいいんじゃないか
内蔵が飛び出ていて、正直グロテスクでもある
掴むのに躊躇する
たかが亀の命
されど亀の命
パッと掴んで反対岸に連れて行った
車にひかれる生物を見ると、とても悲しい気持ちになる
カラスの食事になるのならまだいい
ひかれて、ひかれて、ひかれて、何の生き物だったのか分からない状態を見ると、どうしようもない感情に襲われることがあります
人間として車に頼っている自分が嫌になる時もあります
「死」が悲しいのではないのです
病気や寿命でもない死が嫌なのです
他者が生きるための食事にもならない
そのような死が悲しく感じるのです
亀の出来事でどうしようもない感情になった時、親父を思い出しました
親父悪い…
きっと僕は冷たいのだろう
親父の今の状態より、この亀の方が悲しいや
死が悲しいのではありません
悲しいのは、誰からも愛されず孤独でいること
親父がこのまま旅立っても、奇跡的に復活しても、親父は幸せなんだと思った
決して不慮の事故でもないし、ここで旅立っても早すぎる死ではない
こんなにオフクロが親父を想っていたなんて知らなかった
泊りがけで看病している
離れたくないらしく、ずっと一緒にいる
手で飲み込めないタンを取っている
「寂しかったら、母ちゃんも一緒に行こうか?」と、笑って言っている
干からびたミイラみたいになってしまった親父
ダチョウ倶楽部の竜ちゃんに似ているオフクロ
絵にしたら美しくはないのだが、なんだか美しく見えるじゃあないか
僕も含めた子供
血の繋がらない義息子や義娘
そして孫
代わる代わる見舞いに行く
目に見える分かりやすい優しさはない親父だった
ただ黙々と働き、安心した生活ができる環境を作ってくれた
お酒が苦手なので、サラリーマン付き合いは下手だったろう
真面目だけでは出世はできない
最後は秋田の小さな会社に飛ばされた
定年間近
日本海近くの1Kアパートが、サラリーマン人生の最後だった
いろいろ悔しい思いもしてきただろうが、こうして反抗ばかりしてきた息子は、つれづれとブログを書いている
親父を知らない人からも、「お父さん、良くなるといいですね」と声をかけられる
3姉妹は昔から親父に優しい
オフクロは親父にべったりだ(竜ちゃん似なのだが)
もしこのまま旅立っても、親父の死は悲しいものではない
だから無理に生きて欲しいとも、もちろん死んでほしいとも思わない
親父はきっと幸せだ
それ以上でも、それ以下でもない
心穏やかに幸せであって欲しい
亀の話しに戻ります
自動車を手放す決断はできませんが、スピードには気をつけます
ここまで読んで下さった皆さま
再度、スピードに気をつけてください
法定速度なら、亀は死ななくて済んだかもしれません
亀に車の恐ろしさを教えるのは無理です
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