死や別れによって大切な人を失い、
苦悩の日々と、新しい生活へのもがきを繰り返す中で、
以前の自分では考えもしなかったことをはじめる。

一生、関係ないだろう、とか
一生、やることはないだろう、など
思っていたことをはじめたりもする。

私の場合は、それが「ボディーボード」だった。

ボディーボードとは、マリンスポーツの一種。
サーフィンと同じようなものだけど、
サーフィンと違って、短いビート板のようなボードに寝そべって波乗りをする。

最近は、海水浴シーズンになると海の家で、浮き輪と共にメジャーなアイテムになっている。

しかし、スポーツでおこなうボディーボードと、海の家で借りるボードとは、まるきり異なる。

乗り方もスピードもテクニックも、別物である。

喪失の悲しみも苦しさも、波と格闘していると本当に忘れられる。
一時に過ぎないとはいえ、私にとっては唯一、喪失で壊れた悲しみに満ちた心を「解放」できる時間だった。

はじめたのは、喪失から3年目の頃だったが、6年目が経とうとしている今でも続けている最高の趣味である。