はいっ

突然ですが、

プチ小説的なもの書いてみました(照)

以前働いていた、

小さなバーで実際起こった話をもとにした

フィクションです

(このバーの事、前に書きました→http://ameblo.jp/grg/theme51-10007435548.html#main  


「夜が来る」(サントリーオールドのテーマソング)

をBGMにお読み下さいませ

↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  

http://jp.youtube.com/watch?v=KkAah2TF9xY  


第1話とかしてみましたが

短編1話完結です

続くかどうかは不明


ってな感じで

よろしければどうぞ(笑)


***********************************************


蛇口をひねると

氷水のように

冷え切った水。


洗い終わったグラスは

より透き通って

硬度を増したかのように思える。


あいにくの雨も手伝って

こんな夜は客足も鈍いものだ。


ボトルを拭きあげる、

静かな時間が流れていた。


カラン、コロン


重たいドアのカウベルが鳴った。

一瞬、外の雨音と冷気が店内に入り込む。


一人、

肩を濡らした女性が入ってきた。


「いらっしゃいませ。」


少し声が詰まってしまった。

彼女は口開くことなく、

目の前のカウンター席に腰を掛けた。


「ご注文はいかがなさいますか?」


長い髪は

彼女の表情を隠したままだが、

垣間見える彼女の唇は

その美貌を物語っている。


沈黙を挟み、


「ねぇ、パルフェタムールは置いてる?」


灰色の声で彼女はそう尋ねた。


「ございます。」

「じゃあ、バイオレットフィズ。」

「かしこまりました。」


カンカンカンカンッ


甲高い

シェーカーを振る音が響く。


「お待たせ致しました。」


グラスを弄ぶようにしながら、

彼女はまた口を開いた。


「ねぇ、パルフェタムールってどんな意味か知ってる?」


初めて、彼女の瞳が

うっすらと濡れていることに気が付いた。


「え、え~とっ」


また、声を詰まらせてしまった。


「Parfait Amour」

英語で書くならば、「Perfect Love」

フランス語で「完全なる愛」を意味する

ニオイスミレのリキュールだ。

美しい紫色の酒で、

バイオレットリキュールとも呼ぶ。


頭の中に浮かぶウンチクも

何故か、

この時はうまく口にすることが出来なかった。


彼女の唇が

切なく笑った気がした。


カラン、コロン


力強くドアが開き、

男性が一人、入ってきた。


「遅いじゃないっ」

「すまん、仕事が片付かなくてな…」

「もうっ」


彼女より一回りは歳が違うようにも思える、

その男性に対して、

まるで問い詰めるかのような言葉使いだったが、

先程までの会話よりも、

数十倍、

親しみやすい声色だった。



気が付くと

雨で濡れた彼女の肩は、

何もなかったかのように

綺麗に乾いていた。