一年ぶりに長年の知り合いクレア(仮名)と会った。
私よりも一回り以上年上の彼女は、相変わらず更年期障害に悩まされている。
「脊髄がひん曲がっているのよ。12の時に立て続けに4人も出産したのがいけなかったのかしら?
なのに子育てはすべて母まかせだったから子供の事は何も分からないの。」
会うたびにその話を聞かされて、すでに驚く事もなくなった。
フィリピンの小さな島の貧困層の一人として 大家族で育った彼女の身の上を非難する事はできない。
「私の息子ウィル(仮名)が病気なのよ。手術したけど失敗して、もっと酷くなったの。
また手術するのに100万くらいかかるって言うのよ。そんなお金、ウィルは持ってないし、
私だって生活保護をもらっている中から少しずつ彼に送金できるだけなの。
もう治らないかもしれない・・・死んじゃうかもしれない・・・」
涙をためて語っていた。
彼の病状は痛々しい。
写真で見たところ、下半身のある部分がバレーボールくらいの大きさに腫れており、歩くのが困難な状態だ。
私より年下なのに気の毒だ。
クレアが私に言う。
「ウィルにはまだ小さな子供5人がいるの。私の孫たちよ。
もしいらないおもちゃや古着があったらフィリピンに送る事は出来ないかしら?なんでもいいのよ。
世界の人々はアフリカの子供をサポートするけど、フィリピンだってとても貧しいのよ!」
そして、これが小さな島のジャングルへ旅立つ品々、第一弾。
生活保護、年金、保険に無縁な庶民達へ
これも何かの縁。
少しでも役に立つ事を願うのだ。
20年間息子にあっていない彼女に言う。
「一度故郷に帰ったら?」
そして必ずこの答えが返ってくる。
「ロットに当たったらね。」
これは全世界人類共通願望かもしれない。
何十年間クジを買っているのに大金が当たった事がないのは彼女だけじゃないはず。
そして彼女は言う。
「こうやってギャンブルをほそぼぞやっていると辛い事が忘れられるのよ。
私が出来るのは祈る事だけなんだから。」