作家を生業としていると、色々な質問が来たりする。
「どうやったら作家になれますか?」
「作家になるには何を勉強したらいいですか?」
作家になる為の勉強はないよ、っていつも言います。
自分の中にある何かを表現していきたい為の勉強はあるけれどね、と。
何かを表現していきたいなら、
「目に映るもの全て」
と必ず答えます。
私が今の様な仕事を始める時、オーダー制作1本だけで食べていける様になる迄は「作家」と名乗る事はしない、と決めていました。
そして、作家になる迄はイベントやグループ展や委託以外の所謂「個展」はしない、と。
それは第一線にいるプロの方々に失礼、だと先輩方から耳にタコが出来る位言われてきたから。
自分の得意なものをやっただけでは「作家」としての厚みは身に付かないと思った。
だから、先ずは自分の得意なものを作りつつ、とにかくオーダー制作をメインにし、「不得意なものを克服する為」にお客様の欲しいものをがむしゃらに作っていった。
自分がやった事がないジャンルのものがきたらその都度勉強し、こなしていく。
そのうち余裕が出てきて、素材の成り立ち、歴史なども勉強する様になり、更には、手元にある素材でどう作品として成り立たせる事が出来るか…に変化していった。
それらの勉強は後々、現在の私に有効なものとなっていくのですが、この「お客様からの要望に応えていく事」は、私の強味、制作のベースとなっています。
そして、作家として食べていく様になると、流行など様々な理由で売れなくなる時があったり、窮地に陥る事も出てくるだろうと予測しての「勉強」でもあった訳です。
流行の流れや素材の歴史を把握しておく事は、例えば今やってるものが衰退の途を辿っている時に非常に役立つ。
ファッションでもそうですが、世の流れと流行の流れ(歴史)をグラフ化すると、次はこれがくるかな?というのが見えてくる。
そこに照準を当てつつ、自分のカラーを投入していく。
だから、「目に映るもの全て」を見ておく事が必要になる訳です。
軌道に乗り始めたら次の予測を立て始める…そうやっていると息の長い「もの作り」を続けていける。
私が常に10年先を見ているのはそういう意味なのです。
加えて、不得意なものをやる事で自分の制作の幅が広がり、その分だけオーダーを頂けるというメリットにも繋がる。
「これはどういう素材?」
「何故こういう作品になったの?」
「この形は?」
…とお客様からの質問に全て答えられる自分である事も大事だと思う。
私自身も制作中、「今貼り付けたとこの質問が来たらどう答えよう?」と考えながら作っていたりする。
こういう努力が苦にならなくなったら、それはめっけもんです。