改札口を出て、とても長い階段を上がりました。
あまりの長さの階段を上がりながら
この一年を想いました。
長い旅路をさ迷った一年を。
階段を登ると
まるで蟻のような群衆の中にしばらく立ちすくみました。
錯綜した人込みの中
なぜ誰一人
立ち止まらないのだろう
なぜ誰一人
蹲らないのだろう
そんな事を考えていました。
タワーから見る夜景は、マンションから見ていた夜景とかぶり
涙を堪えることができず
硝子に額をくっつけて涙を溢しました。
強くならなきゃ
強くならなきゃ
強くなって
一年前の私の笑顔を取り戻さなきゃ
そう思い
広がる都内の夜景を見つめました。
エリッククラプトンの歌詞が頭によぎりました。
tears
in
heaven
の曲の歌詞を口ずさみ夜景を見つめました。
『時が経つにつれ気分が滅入ることもあるだろう
時が経つにつれ落胆することもあるだろう
そして心を打ち砕かれてしまうこともあるだろう
お願いだ
お願いだって
心から願うようになるさ
そのドアの向こうに安らぎが待っていると僕は信じている
そして
これ以上
天国で涙を流さなくっていいんだね』
涙を吹いて
街並みに向かい
歩き始めた時
私は
ほんのすこし
強くなった気がしました。
