金田一『従姉妹のフミを巻き込んだ大胆不敵な計画殺人は、
こうして幕を下ろしたが、
俺の中には何か引っかかる『何か』が残った。
その『何か』は時間が経つほど、
じわじわと黒いしみのように広がっていった・・・
このすっきりしない『イヤな感じ』は・・・
まさか・・・』
<永倉との面会&永倉を操っていたのは>
金田一、美雪、剣持警部の3人が、
刑務所にいる永倉新八と面会。
永倉「・・・何だい?金田一君。
わざわざ面会って・・・・
俺はもう全て話したつもりだけど?」
金田一「・・・・本当にそうですか?」
金田一は、以前永倉が、
永倉『ただ一つ不運だったことがあったとするなら金田一君、
君の従姉妹を誘拐しちまったことかな?
それがなければ、これは見事な『完全犯罪』だった。』
自分で考えたにしては、
まるで”他人事”の様だったという所が、
金田一は気になっていた。
・「計画」が、あまりにもよく出来過ぎてた。
・もし、あの時偶然起きた爆発事故がなかったら、
この事件は見事な完全犯罪になっていたかもしれない。
・犯罪歴のない永倉が、たった一人で考えたとは、
とても思えない。
この事から、
金田一は『殺人計画』をプロデュースした人物がいるのではないかと考えていた。
「なんのことかな?」とシラを切る永倉。
しかし金田一は、
「俺はその男をよく知っている!
奴は不幸や憎しみを抱えている人に、
言葉巧みに近付いて、その人の中の憎悪を煽り、
自分が考えた『芸術犯罪』とやらを演じさせる
『操り人形』にしてしまうんだ。
俺はこれまで何人もの人が、奴の『操り人形』になって、
凶悪な犯罪に手を染める物を何度も見てきた。
俺は・・・あの男だけは絶対許せない・・・・!
あいつだけは必ず・・・・俺の手で捕まえなきゃならないんだ。
だからなんでもいい。
奴について知ってることを教えてくれ!
頼む・・・・永倉さん!」
と、説得。
金田一の説得に、永倉は「わかった」と言って、
その経緯を説明した。
それは、夕月カンナの葬儀の後。
カンナの同僚から受け取ったスマホの『日記』を見て、
彼女の自殺の原因を知った永倉は、
ただ茫然としてそこに突っ立っていた。
”
永倉「こんなことって・・・俺・・・どうしたらいんだよ・・・カンナ・・・」
雨が降り、”ある人物”が永倉に傘を差し出した。
???「どうぞ。濡れてしまいますよ?」
永倉はその人物を見ると、
その人物が、カンナの葬儀にいた事を思い出す。
永倉「あなたは・・・さっきカンナの葬儀にいた・・・」
???「ええ・・・悲しい式でしたね。
あんなに若くてかわいらしい女性が自殺なんて・・・
本当に胸が痛みます・・・・
まさか、
あなたの彼女が上司にいびり殺されたなんて・・・」
その時、永倉はカンナの同僚から聞かされた話を、
その人物が知っていることにビックリした。
永倉「ど・・・どうしてそれを!?」
???「すみませんね。
実は先程のカフェでたまたま聞いてしまいまして・・・
それで・・・・?
あなたは何もしないんですか?
彼女を殺したも同然の上司に。」
永倉「・・・そうだな・・一発ぶん殴ってやりたいよ。」
???「それだけ?
その程度で済むようなことなんですか?」
永倉「そんなわけないだろ!?
できればこの手で・・・」
???「殺したい・・・?」
永倉「!?」
???「いいじゃありませんか?
彼女を貶め、
無能な部下として死に追いやった上司にふさわしい
『不名誉な死』を与える・・・・」
???=高遠「私で良ければ、手助けしますよ?
『完全犯罪』による芸術的『復讐』を・・・」
”
剣持警部「やっぱり奴か!
『地獄の傀儡師』高遠遙一!」
<誠>
今回の事件には、
やはり『地獄の傀儡師』高遠遙一が絡んでいた。
金田一「永倉さん、あんたは利用されたんだよ!
あの悪魔のような『犯罪者』に。」
永倉「そう言ってもね・・・・結局、殺人に手を染めたのは俺だよ?
俺自身、自ら進んで『人殺し』になることを選んだ。
俺だってもう、立派な『犯罪者』さ。」
金田一「本当にそうなのかな?
フミも言ってたぜ?
『あんたの人質への気遣いが半端なかった』って!
あんたは、根はやっぱり優しい人間なんだ。
犯罪者なんて向いてない。
それに・・・美雪!」
美雪は、永倉にある物を見せた。
それは、色紙の中心に”誠”と書かれ、
その四隅には、
今回の事件に関わった、同姓同名の新撰組隊士、
近藤勇・土方歳三・斉藤一・新見錦の4人から、
永倉宛てのメッセージが書かれていた。
”
近藤「永倉くん
君はまだ若い
やり直しはきく
罪を償って生き直すことを願う」
土方「辛い選択だったと思う
だが、ヤケにならぬよう生き抜いてほしい」
斉藤「やり方は間違っていたと思う
けど彼女さんへの愛情は本物だったと思います」
新見「永倉さんの告白に涙が止まりませんでした
そんなに愛されてカンナさんは
きっと天国で思ってると思います
生まれ変わったら今度こそ結ばれたいって」
”
4人からのメッセージを見た永倉は、
「こんな・・・こんな俺のために・・・ありがとう・・・・
ありがとう・・・みんな・・・・・」
と、涙を流した永倉だった・・・
<cafeふくろうマスターの正体>
後日、cafeふくろうで、金田一と美雪は、
フミの誘拐事件で出会った、ブラック上司(山南敬助)について、
話していた。
話を聞いていたカフェのマスターは、
「そんなことがあったのか、びっくりだったな。」と言っていた。
金田一は、
「ブラック上司だかなんだか知らねーけど、
俺なら一発で片づけてやんぜ。」
”
金田一「あんたの下で一秒たりとも働けるか、このハゲ上司!」
OL達「キャー♡金田一さんステキ―♡」
”
と言っていたが、美雪は
「はじめちゃん、意外とヘタレだから、
そんな上司にゴマ擦って陰で文句ってそう・・・・」
と呆れ気味。
マスター「ハハハ、そうならないことを祈ってますよ。」
と、いつものマスターの口調に違和感を感じた金田一。
しかしここで、いつき陽介との約束を思い出し、
電車に乗る為に、美雪と共に駅に向かって走っていった。
ジッチャンの名にかけて、電車に間に合う為に・・・
(※ちなみに代金はツケ)
マスター「グッドラック、金田一君。
間に合うといいですねぇ・・・・!」
カフェのマスターは、お店の看板の”OPEN”を”CLOSE”に直した。
マスター「すれにしても偶然とはあるものですね。
まさか、あの事件まで
金田一君が関わってくることになろうとは・・・
いや・・・・偶然じゃなくて、必然かな?
金田一君!」
と言って、マスターが変装マスクを取った。
実は、cafeふくろうのマスターは、高遠の変装だった!
高遠「私と君は、決して交わる事のない平行線。
しかし、それはスキーのシュブールのように、
常に並んで、すぐ近くにある。
そういう宿命だとするなら、
まだまだ君との付き合いは長く続きそうです。
金田一君、また会いましょう。
謎に満ちた事件で・・・・・グッド・ラック」
<感想>
今回で、『金田一二三誘拐殺人事件』ならびに
『金田一少年の事件簿R』が終わってしまいましたね。
まさか最後の最後で高遠が事件に関わっているとは・・・
そしてもっとびっくりしたのが、
cafeふくろうのマスターが高遠だったとは!
ということは、『亡霊校舎の殺人』や『聖恋島殺人事件』のなどの時に写っていたcafeのマスターも全部高遠だったという事なのか・・・
今考えれば、それも伏線だったのか・・・・
あと気になるのは、
「大人版金田一」が一体どうなるかですね。
金田一や美雪、剣持警部や明智警視などが、
大人版になると一体どんな感じになるのか、気になりますね。
でもマガジンで『金田一少年』シリーズ自体は
今後も続くらしいから、それは安心しました。
大人版金田一は来年の1月かららしいから、
来年の大人版金田一が楽しみだな~。